教科書薄すぎ? 公立小のジレンマ 「受験させられない」働く母たちの嘆き
全国的に見れば、小学校や中学校で「受験」をし、「地元の公立」以外の学校に行くケースは少数派だ。だが、都心部を中心に、よりよい教育を受けさせたいなどの理由で受験をする子どもたちは増えている。ただ、子どもの年齢が小さいほど、受験のためには「親の全面バックアップ」が必要。働く母たちの中には、自分が働いているせいで地元の公立にしか通わせられないのはいいのだろうか、と「公立ジレンマ」を感じる人もいる。
学校は頼りにならない
都内の公務員の女性(49)が、公立小学校への不安を感じたのは、大学生になった長女が小学3年生のときだった。
娘が肺炎を起こして1週間入院したら、ちょうどその時に、割り算など難しい単元に突入した算数で、つまずいてしまった。担任に相談をしたが、
「大丈夫。すぐに取り返せますよ」
と言うだけで、構ってもらえない。だが、持ち帰るテストの点数は明らかに下がった。塾通いや家庭教師などでなんとか追いつかせたかったが、女性自身が仕事と家事、育児でギリギリの毎日で、情報を集める時間もなかった。
娘は4年生になると、いじめに遭い不登校になった。学校を休んでいては塾どころではないうえに、勉強はさらに遅れた。娘は完全に落ちこぼれになってしまった。
「こうなったのは、お母さんが働いているから、という周囲からの圧力を感じた。公立は、勉強も、友達関係も、親がある程度みてあげないとダメ。学校は頼りにならない」
このまま同じ仲間と地元の公立中学に通わせると、また友達とのトラブルが起きると判断。女性は、中堅の私立中学受験を娘に勧めた。娘はそこで、英語という得意分野を見つけた。得意なことを極めることで自信を取り戻し、昨年は1年間の海外留学も果たした。
読み書き計算が少ない
千葉県に住む自営業の女性(43)も私立中学に子どもを通わせたかった一人だ。
「地元には、茶髪にバイクというマイルドヤンキーも多い。全体的に学力も低いため中学では私立に行かせたかった」
だが、通いやすい近隣に私立中学がなく、仕方なく地元の公立中学校に入れた。案の定、校内の雰囲気は荒れていた。入部した剣道部の顧問は体罰こそないが、言葉の暴力が凄まじい。荒れていない私立の中高一貫校に編入させるため、女性は仕事の傍ら情報収集に没頭している。
アエラはアエラネットを通して、子どもを公立校に通わせる親の不満と満足を聞いた。
不満は、やはり「学力」面に集中した。