リニア新幹線、「直線ルート」に軍配。長野県敗北の舞台裏
沿線自治体の関係者たちは「あれで決まった」と口をそろえる。今年6月に開かれた小委員会だ。長野県の村井仁知事(当時)が特定ルートの要望を避け、「結論を出す際は関係者が納得できるような説明をもらいたい」と述べるにとどまったことである。
すでにこの会合で、隣接する山梨県が「直線ルートが最善」と自らの立場を初めて明らかにし、長野県の“四面楚歌”が色濃くなっていた。長野県内でも伊那谷ルートではなく、直線ルートのほうが駅設置の確率の高い飯田市や周辺地域が、独自色を強めた。長野県は直線ルートの優勢を押し返すような意欲を失っていたのである。
「長野マター」が消滅したことに続いて、経済効果という「客観的な数字」も後押し。もはや直線ルートを否定する材料は尽きたというわけだ。
委員会は年内にも中間報告をまとめ、来年春には最終答申を行う予定。しかしこれで一見落着ではない。ルート決定後に本格化する、JR東海と自治体間の駅選定はさらに難問だ。そこに国がどうかかわっていくか。リニア計画は次なる山場に差しかかる。
(撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2010年10月30日号)
※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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