露骨になってきた、「公的相場操縦」の行方 日経平均株価は2万円以上が確実に?

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市場は、敏感に反応した。GPIFの計画変更は、正式発表前から経済紙の記事に載り、日経平均は、これに対して前日比2百数十円高、さらにサプライズと円安を伴った日銀の追加緩和が発表されて合計して前日比755円高で応えた。この勢いは海外市場にも引き継がれて連休明けの11月4日火曜日にも失われず、株価は2取引日で、合計で約1200円高の反応を見せた。

株価操縦としては、上々のスタートだったといえる。

意見と予想を分けて考える

読者には、話の筋が見えにくくなるかも知れないが、相場の予想を偏りなく考えるために、現在の経済政策に関する、筆者の「意見」を先に吐き出しておく。

筆者は、日本経済の環境整備としてデフレからの脱却は重要であると考えており、現時点での金融緩和の追加措置には賛成だ。一方、十分な物価上昇を実現するためには、需要を吸い上げることにつながる消費税率の再引き上げは延期した方がいいと考えており、昨今の、さらに今後も予想される株価上昇と円安が再増税実施の判断を後押しすることになる可能性を危惧している。

株式や外貨建て資産を買いつつ資金を放出することが金融緩和の効果を持つことは認められるのだが、公的資金(GPIFのも日銀のも)で株式を買うことは好ましくない。公的資金の株式買いに反対する理由は、相場操縦であり価格形成を歪めること、他の市場参加者に利用されて年金加入者や納税者が損をする公算が大きいこと、公的機関が民間企業の株式を保有することが企業ガバナンス上マイナスであること、の主に3点だ。

GPIFと日銀を使った「公的株価操縦」は、一時的で限定的なメリットに対して、デメリットが大きい。金融緩和の追加プラス消費時税率再引き上げ延期の組み合わせが適切な政策だと思う。

おかげさまで、意見を先出ししてサッパリした。意見は棚上げして、相場の予想に集中しよう。

本欄の読者には釈迦に説法だが、株でも為替でも競馬でも、意見や好き嫌いを棚上げして、将来起こり得る事象の確率の音に耳を澄ませる心掛けが大切だ。

相場の世界で「何時」と「幾ら」を正確に予想するのは至難の業だが、1990年代の「公的資金の買い」(いわゆる“株価PKO”)や昨年来の為替レートと株価の関係などを参考に考えてみよう。

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