金融証券税制は予定通り2012年に本則税率の20%に引き上げ--政府税調の専門家委員会
政府税制調査会の専門家委員会(委員長・神野直彦東京大名誉教授)が21日開かれ、金融証券税制や相続税について議論を行った。
委員会後に記者会見した神野委員長によると、10%に軽減されている金融証券税制については「予定通り2012年に本則税率の20%に戻す」という点で委員の意見が一致。相続税についても、高止まりしている基礎控除を引き下げるという意見で一致したという。ただ、相続税の税率については、上げるべきではないという意見と、富裕財産層に負担を求めるべきだ、という両方の意見があったという。
金融証券税制は、上場株式などの配当と譲渡益について、特例措置として2011年まで10%の軽減税率が適用されている。しかし、申告納税者の所得税負担率をみると、高額所得者になるほど、合計所得金額のうち株式譲渡の占める割合が高くなり、所得税負担率は1億円までの所得を境に低下することが示されている。
また、相続税は、相続財産に対し、5000万円プラス1000万円×法定相続人数分の基礎控除などを差し引き、課税遺産の総額が決まる仕組みになっている。しかし、相続税収はピークの1993年に約2.9兆円あったが、2010年で約1.2兆円と、バブル期以降は課税割合、税収ともに減少傾向にある。そこで、格差是正の観点から、2010年度の税制改正大綱では、基礎控除の引き下げや最高税率の引き下げが課題として指摘されていた。
同委員会では11月中旬をめどに、消費税や法人税のあり方についても一通り議論を行う予定にしている。
(写真:尾形文繁)
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