前田容疑者関連の検証対象事件は概ね30件程度。特別公務員職権濫用罪は構成要件を満たさず
最高検察庁の池上政幸刑事部長は20日、大阪地検特捜部のフロッピーディスク改ざん事件関連で記者団の取材に応じ、大阪地検の元主任検事、前田恒彦容疑者が東京地検や大阪地検の特捜部検事として、あるいは応援の形で関わった過去の事件のうち「概ね30件程度が検証作業の対象になる」との見通しを示した。それ以上は増えないだろうとの見通しを示す一方で、調査の手法や取り調べの対象者については、「検証は極秘裏にやるのが望ましいと考えている。まとまった段階でお伝えするが、今はお許しいただきたい」として明言を避けた。
「刑法194条の特別公務員職権濫用罪で事件全体を洗い直すべきでは」との再三の質問には、「(検察としては)踏みこみすぎの発言だが、特別公務員職権濫用罪の構成要件は『無実と知っていながら』『逮捕または監禁』すること。公判段階では村木(厚子・現内閣府政策統括官)さんは保釈されている。また『無実と知り得た』のではなく『無実と知っていた』ことが(犯罪の構成要件として)大事」と語気を強め、刑法194条違反の構成要件をまるで満たしていないことを示唆した。
このほか、前田容疑者が自白の供述調書を取るのがうまい「割り屋」と呼ばれていたのかについて池上刑事部長は「承知していない」と回答。「割り屋」が隠語として定着し、割り屋行為が常態化していたかについても「ないと思っている」と回答していた。
前田容疑者の当時の上司に当たる大阪地検の前特捜部長の大坪弘道容疑者や前副部長の佐賀元明容疑者は21日に起訴、懲戒免職となることや、両容疑者が懲戒免職について人事院に不服申し立てをすることが確実視されている。
特別公務員職権濫用罪(刑法194条):裁判、検察若しくは警察の職務を行う者又はこれらの職務を補助する者がその職権を濫用して、人を逮捕し、又は監禁したときは、6月以上10年以下の懲役又は禁錮に処する
(山田雄一郎=東洋経済オンライン)
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