大増殖! 「世界系」番組が急増するワケ 特番からレギュラー番組まで百花繚乱

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でも、そこは勉強熱心で教養豊かな日本人。グローバル化した日本人はどういう人たちなのかを見ておきたいし、海外旅行では行けないような辺境の国々も見ておきたいのです。

2つ目は、「日本で生まれ育ってよかった」と確認するため。前出のテレビ番組で取り上げられた日本人の方々の人生は波瀾万丈。経済的に恵まれていなくとも、現地の経済成長に貢献していたり、寄付をしていたり、本当に頭が下がります。

こういう日本人を見ると、「日本人はすばらしい」と誇りに思います。しかし、同時に、「自分にはこんな大変な生活は無理だ。日本で生まれ育ってよかった」と確認している視聴者も多いのではないでしょうか。

文部科学省所管の統計数理研究所が10月30日に発表した国民性調査によれば、日本人の83%が「生まれ変わっても日本に」と考えているとのこと。こう回答した人のうち、5年前(2008年)の調査と比べて、急増したのが20代でした。男性は75%(前回54%)、女性は72%(同64%)が日本を選んだといいます。

同研究所は、「震災時の秩序だった行動が国民意識に反映されていると考えられる」と震災の影響を指摘していますが、こうした国民全体の傾向にも、うまく「世界の辺境に住む日本人番組」がマッチしているのかもしれません。

世界には日本を含め195もの国があり、取材されていない地域も日本人もまだまだあるでしょう。世界のテレビ局初取材というところもたくさんあるはず。こうなったら、世界の果てまで取材して、辺境の風景映像をどんどん撮りためて、世界に販売すればいいのにと思います。日本のテレビ局が撮影した動物や自然映像は海外でよく売れますから、市場はあるはず?

視聴率はとれるし、ネタはつきないうえに、海外にも映像販売できれば、「世界×日本人」番組はまだまだ続くのではないかと予測しています。

佐藤 智恵 作家・コンサルタント 

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さとう ちえ / Chie Sato

1970年兵庫県生まれ。1992年東京大学教養学部卒業後、NHK入局。ディレクターとして報道番組、音楽番組を制作。 2001年米コロンビア大学経営大学院修了(MBA)。ボストンコンサルティンググループ、外資系テレビ局などを経て、2012年、作家/コンサルタントとして独立。主な著書に『ハーバードでいちばん人気の国・日本』(PHP新書)、『スタンフォードでいちばん人気の授業』(幻冬舎)、『ハーバード日本史教室』(中公新書ラクレ)、『ハーバードはなぜ日本の「基本」を大事にするのか』(日経プレミアシリーズ)、最新刊は『コロナ後―ハーバード知日派10人が語る未来―』(新潮新書)。公式ウェブサイト

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