坂之上:素人なので、よく分からないんですけども、条例が決まると、何が違ってくるのですか。
中山:正直な話、この条例は、具体的に何をするってものではありません。どちらかというとまちのすすめる方向を指し示すものです。と同時に、エンジンとなるものでもあります。
坂之上:まちの憲法みたいなものですか?
中山:憲法というよりも、まちづくりのルールを定めた基本条例があり、そのもとでこの条例をつくり、「市民誰もが幸福実感をますます高めることができるまちづくり」っていうまちの方向性を、みんなで共有していく。
幸福って、そもそも人それぞれ違いますよね。住民のみなさんがそれぞれ、いろいろな価値観をもっておられるわけですから。
その上で逆説的ですが、個々の住民の幸福観はそのまま丸ごと大切にするためにも、行政の軸をしっかりともってないと、気付かないうちにぶれてしまうことがあります。
そういうのがないと、儲けるほうにだけバーッといってしまうとか、多くの人の幸福観の公約数として潜在しているはずのものからは偏ったほうへバーッといってしまう可能性がある。
坂之上:ぶれそうになった時に、立ち戻れるようにする、ここだよね? とみんなで気持ちを共有、確認するための条例なんですね。新しい時代の条例づくりのような。ぜひ応援したい気分になりました。
政治にたずさわる者は、人の命を支えている
坂之上:自殺のない社会づくりにも、取り組んでいらっしゃいますね。
中山:ええ。これは自分のライフワークとしてという感じなんですけど、自分のまちだけのことでなくて、ほかの地域のみなさんも含めて、自殺のない社会づくりをしていきたいと思っています。
坂之上:これは、どういうきっかけで?
中山:よく、人間とは「do」、何をするか?だ。みたいに言うじゃないですか。だけど、僕は「be」だと思うんですね。もう、その人がここに在ること自体の、「be」。
坂之上:「be」?
中山:はい。人がそこに「在る」こと自体、ありがたすぎる、尊すぎると思うんです。
自分というのは、お父(おとう)とお母(おかあ)のおかげでここにいる。で、そのお父お母も、そのまたお父お母から、ずっとずっとつながってるわけですよね。
これは当然のことながら、500年前、1000年前でも必ずたどれるし、5000年前でも、1万年前でも、もう人間の体してるかどうかわかりませんけど(笑)、100万年前だって、たどれるわけです。
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