中山:土を触ることによって、人間としていろいろ感じる部分がありますから。
坂之上:はい。
中山:そしてできた農作物を、売ります。売って、お金をいただく喜びを感じていただく。それから、自分が作ったものを生活困窮者の方々にお渡しして、笑顔になっていただく。自分が働いて、その成果として誰かに喜んでもらう。そして、喜んでいただく喜びが次に向かう主体的な力になる。
坂之上:働くことの喜びはなにかっていう基本に立ち返るわけですね。自分が働くことで、他の誰かに喜んでもらう。
中山:ええ。それから、実際にね、県と県の間に境界線ってありますけど、結局、いろいろなことで支え合ってるわけじゃないですか。たとえば少なくともこれまでは、沖縄には安全保障の大切な負担を負っていただき、福井には、原子力の負担を負っていただいていたわけで。
日本全体で、あるいは日本と世界との間でも、いろいろなことで人々が支え合って助け合って、この社会が成り立ってるわけですね。そういうところに思いを馳せて、できることをやって、負担を分かち合い、お互い支え合っていくっていうことが大切じゃないかと思うんです。
坂之上:支え合うことを意識する……ですか。
中山:そう。そのことを意識し共有することで、互いに感謝も広がり、さらに負担のあり方の見直しも導かれる。
「幸福」を軸に、ぶれないまちをつくる
坂之上:京丹後市の条例で、市民総幸福のまちづくりを制定されるって伺ったのですが?
中山:ええ。「人や社会の幸福」をまちづくりの中心に据えたいと思って、幸せが末永く広がり続けるまちをつくりたいと制定への手続きを進めています。
坂之上:幸福のまち。そのアイデアはどういうところからきているのですか?
中山:いろんな価値観や課題がますます複雑にからまりあう時代の中で、行政の中でひょっとして本来見失ってはいけないものを、いつのまにか埋没させてしまってはいないか。そんなことを思ったわけです。
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