ウクライナ情勢が混沌とする中、市場は極めて不安定な状況が続いている。
軍事衝突なら「当面の相場終了の始まり」になる可能性
そうした中、金市場は不安定な上下を繰り返しながらも、着実に値を切り上げてきている。2月17日にはNYの金先物市場価格は昨年6月以来となる1トロイオンス=1900ドルの節目を回復。直近は「ロシアのウクライナ侵攻」を受け、一段高となっている。
足元はインフレ圧力の高まりを受けてFRB(連邦準備制度理事会)が利上げペースを速めざるをえなくなるとの見方が強まっており、金相場には長期金利が上昇基調を強めるなかでは逆風のはずだ。にもかかわらず、しっかりと買いが集まっているのは、やはり安全資産としての金に対する需要が大きな下支えとなっているのだろう。はたして金は、このまま輝きを取り戻すことができるのだろうか。
金市場に安全資産としての買いが集まりやすいのは、まさに今起きているウクライナ情勢の悪化のような「先行きに対する不透明感が強く、市場の漠然とした不安が高まっているとき」だ。
ウクライナも大国であり、ロシアとのさらなる軍事衝突に発展すれば、双方ともにかなりの被害が出ることが予想される。
「できれば有利な条件を引き出して和平交渉をまとめたい」というのがロシアやアメリカ、NATO(北大西洋条約機構)双方の本音だったが11月に中間選挙を控えるアメリカ、NATOの東方拡大を何としてでも阻止したいロシア、そして天然ガスの供給のかなりの部分をロシアに依存しているドイツを中心とする欧州と、ウクライナを巡る思惑は入り組んでいる。
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