世界の株式市場が再び揺れ動いている。1月のアメリカ株市場を振り返ると、S&P500種指数は約5%超下落、コロナ禍直後の2020年3月以降では最も大きな月間の下落率となった。
2月初旬にかけてプログラム取引による買い戻しなどが入ったとみられ反転した後、10日から再び下落に転じている。14日以降はウクライナ情勢が緊迫化しており、この報道で一喜一憂しながら、1月後半の安値付近まで下落、二番底をうかがいつつある。
アメリカ株下落の主要因はウクライナではない
アメリカ株が最高値を更新していた2021年末時点の当コラム「2022年の米国株はあまり上昇しないかもしれない」では慎重な考えを述べ、今年1月23日付けの「アメリカ株は『懸念すべき投資先』になりつつある」では警戒感を強めたが、現状この見方にはほぼ変わりはない。
17日時点で、S&P500種指数はテクニカルの節目である200日移動平均をやや割り込んだところまで下げているが、今後、反転するのかさらに下落するのか、どちらに転じるか相場観は分かれるだろう。緊迫化しているウクライナ情勢が最悪期を脱すれば、アメリカ株市場は上昇に転じるだろうか。
実際には、1月以降の株安の主要因はウクライナ問題ではなく、FRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ沈静化を強める「タカ派への傾斜」であろう。割高感が高まっていたハイテク株などを下落させて、これがアメリカ株式市場全体に波及するに至っている。 FRBの早期の引き締め転換に加え、財政政策も引き締め的に作用するため、筆者は今後のアメリカ経済に急ブレーキがかかると引き続き予想している。このため、今後のアメリカ株市場は一段安となる可能性が高い。
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