アメリカの株価は本当に下げ止まったのか? 過去の経験則が今回は当てはまらない可能性
やはりというべきか、今年最初の連邦公開市場委員会(FOMC)後のマーケットは、すんなりとはいかなかった。
改めて振り返ると、FOMCの内容は特にサプライズが飛び出したわけではない。FRB(連邦準備制度理事会)は現在進行中の量的緩和策の縮小(テーパリング)を予定通り継続、3月に終了するとしたうえで「間もなく利上げが適切な状況になる」と、次回3月のFOMC会合で利上げに踏み切る可能性を強く示唆。また市場が気にしているバランスシートの縮小については、利上げが開始された後に着手する意向を示し、現在FRBが保有している債券が償還を迎えた際に、再度購入することを行わないという方法で、段階的に進めていく方法を示した、こちらも大方の予想通りだったと言える。
市場は声明文の発表直後こそ、材料出尽くし感も手伝ってポジション調整の買い戻しが集まった。だが、その後ジェローム・パウエルFRB議長の会見が始まると流れが一転。大きく値を崩す展開となった。
パウエル議長のあいまいな姿勢で市場が不安に
実際には議長の会見にもサプライズがあったわけではなかった。だが、3月のFOMCでいきなり50ベーシスポイント(bp)の大幅利上げに踏み切る可能性や、その後の利上げのペース(2会合に1度の穏やかなものになるのか、会合の度に利上げを行うのか)に関して、明確な方向性を示さなかった。結局そのことが、市場の不安を煽る格好となったのだろう。
これまでの記者会見や議会証言では、サプライズを与えて混乱を引き起こすことがないように細心の注意を払って、うまく市場との対話を続けてきた議長だったが、今回ばかりは投資家を安心させることはできなかったようだ。それだけ先行きに不透明感が強く、議長もあいまいな受け答えしかできなかったということなのだろう。
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