「いじめは悪いこと」と諭す人に欠けている視点 「他人からの期待や評価」が問題の隠蔽を招く

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この点を踏まえて思い返すと、実際にプロ野球選手になるような人は、本当に野球が好きで練習が苦にならない人たち、という気がしてきます。

そこまでのモチベーションがない中で「プロ野球選手になりたい」という目標を抱いているなら、もっと大きな価値観も固めたほうが良いでしょう。「足が速いから、1番打者になる」「打撃力があるから、ホームラン王を目指す」「ルックスに自信があるから、スターになる」など。

そして、この大原則となる目標がきちんと埋まってくると、「自分が目指すのは、プロ野球選手でなくても良いのではないか」となることもあるはずです。

日本人は「将来の夢」と言えば、職業を答えることが多いですよね。でも、職業は夢を叶える手段です。手段がダメになったとき、夢ごと失ってしまう人がいますが、夢を手段ではなく目標に置いておけば、挫折からも立ち直りやすくなるのです。

「他人と違ってはいけない」問題

社会には、ベンチャー企業のように、個を大事にして、自分で考えて自分で動ける人が好まれる場合と、大企業のように、ビジネスの構造が出来上がっており、その歯車を回してくれる人が好まれる場合があります。

歯車を回すことも1つの能力で、適性ですから、どちらが優れているかという話でもありません。歯車を回す人は、それなりの還元を受けるのが資本主義です。逆に、自分にできることを生かして、クリエートすることができれば、負荷は大きいけれど、それに見合った報酬を受けられる可能性があるという仕組みも重要です。

ただ、そのような社会に対して、学校は、「個を伸ばそう」とは言いつつ、「同じ正解に到達する練習」にどうしても重点を置かざるをえません。その中で義務教育の9年間を過ごすのですから、子どもたちの間に同調圧力が高まるのは仕方がありません。

恐るべきは、子供の成績は、先生の成績でもある点です。自分の生徒が1問でも正しい答えを出してくれるようにならなければ、評価につながらないという仕組みの中では、個など尊重している場合ではないという先生が現れるのも頷けます。

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