「いじめは悪いこと」と諭す人に欠けている視点 「他人からの期待や評価」が問題の隠蔽を招く

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子どもの場合は、集団生活をしていますから、周りに受け入れられる自分を模索している子が多いのが現実です。それはつまり、「空気が読める」ということです。僕自身も「空気が読める人になろう」と苦労した時期がありましたが、そんな思考から脱却するには、2つの道があると思っています。

1つは、日頃のさまざまなチャレンジや試行錯誤を、全肯定されながら育つことです。こういった子供は、個性の塊のようになります。これは本人の努力というより周囲の大人の心がけですが、ひとりでも全肯定してくれる大人がいるだけで本人には絶大な影響があります。「あなたが」そういう大人になってほしいと思います。

もう1つは、僕のようなタイプで、ひとしきり「普通」になろうと努力を重ね、「やっぱり普通になるなんて無理だ」と気がつき、振り切れることです。

「普通」とは、みんなが求めるものです。浮いていない、周囲から逸脱していないキャラを演じるということですね。僕は、それを身に着けようとあらゆる努力をしましたが、結局、身に着くことはなく、「頑張ってもしょうがないわ」と考えました。そして、自分に合う人間と付き合うようになったわけです。

自分らしい大原則を立てよう

どんな人間になりたいかは、現状に合わせてつねに変わるものですから、もっと抽象的な、人生の大原則だけを固めておけばいいと思います。

「将来はプロ野球選手になる」という夢は変わっていきますが、「人を助ける」「優しい人間になる」などは大原則になりうるでしょう。

そもそも、「野球選手になりたいです」がいちばん最初に出てくる場合は、実際にそうなれる確率が低いのではないかと思います。

たとえば、僕は一人の俳優として、「帝国劇場の舞台に立ちたいです」「劇団四季に入りたいです」という目標を語る俳優と会うことが少なからずあります。では、実際にそれらの舞台に立つ俳優たちは、どんな目標を語っているでしょうか。

彼らは、「自分にはこんな価値があるから、それを生かして、こんな仕事をしていきたい」というように、自分が提供できる価値とは何かという部分までブレイクダウンしています。または、「こういう表現ができる俳優を目指して、このような作品を作りたい」というように、「自分の実力を磨く」点に極めて強いモチベーションを持っています。

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