イオンが鳴らしたドラッグストア再編の号砲 「4社統合で業界首位」の先に見据える野望

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「ドラッグストア業界は短期間で上位への集中化が進む」と岡田元也イオン社長(撮影:今井 康一)

実際、22日の記者会見で、ウエルシアの池野隆光会長も何度も「垣根」を口にした。「今後は垣根を下げて一緒に商品開発をしていきたい。今まではイオンが持っているスーパーのノウハウを導入できていない」と明かした。

統合後もイオンとの物流ロットや業態の違いのほか、乗り越えるべき多くの問題が立ちはだかる。ウエルシアはイオンの完全子会社になるわけではなく、統合後も東証1部上場が維持され、屋号も当面は残る見通しであり、イオンがグリップを握れるかは不透明だ。

営業益ではまだ業界5~6番手

また業界首位の座も安泰ではない。マツキヨを抜くとはいえ、売上高3000億~5000億円台に7~8社がひしめく群雄割拠状態は変わらない。そのうえ、単純合計した営業利益は166億円と5~6番手であり、収益力で見劣りする。

市場環境も不透明だ。ドラッグストア業界は成長を続けているとはいえ、そのスピードは鈍化してきている。出店余地も狭まってきており、市場を席巻するには次の一手が重要だ。「ドラッグストア業界は今後M&Aが増えていく。おそらく短期間で上位への集中化が進む」。22日の会見で岡田社長は、さらなるM&Aにも意欲を見せた。

ツルハHDが参加しない今回の4社統合は、インパクト不足との評価も(撮影:今井康一)

意中の相手はツルハホールディングス――。それが関係者の専らの見方だ。北海道を地盤にするツルハはイオンが13%の株式を保有し筆頭株主。業界3位(売上高3884億円)だが、営業利益はマツキヨを上回る241億円をたたき出すなど、業界屈指の高収益企業だ。

ツルハについて業界関係者は、「業界ではみんなが参考にする優秀な会社だ」と口々に話す。会見でツルハについて聞かれた岡田社長は「(鶴羽樹会長は)第一級の経営者であることは間違いない。敬意を持ってこれからも変わらず接していきたい」と慎重に言葉を選んだ。

はたしてどういう青写真を描いているのか。岡田社長の野心は絶えない。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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