介護施設のずさん運営に見た仏「格差社会」の葛藤 富裕層向け施設のひどい実態が暴露され大騒ぎ

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優良企業とみられていた企業のスキャンダルがフランスで大騒ぎになっている(画像はオルペア社のHP)

フランスの国家金融検察局は、高齢者介護施設での虐待に関するスキャンダルに揺れるオルペア社の元総支配人が同社の株価が暴落する前に同社の株を転売した件について、インサイダー取引の容疑で予審を開始した。フランスを中心に高級高齢者施設を運営するオルペア社の施設内で、入所者に対する虐待や衛生管理の不備の疑惑が浮上し、連日、フランスでは大きな騒ぎになっている。

捜査対象になっているのは、1月末に運営会社の会長兼CEOを解任されたイブ・ル・マスネ氏で、施設の衝撃的な実態を暴いた本の出版を察知し、暴落を見越してオルペア社の持ち株を売却した嫌疑がかけられている。

暴露したのは著書『墓掘り人』で実態を明らかにしたフリージャーナリストのビクトル・カスタネ氏。パリ西郊ヌイイ市にあるオルペア社の中でも最も高級な施設の入居者とその家族の証言や、施設の元関係者などの証言をもとに実態を調査し書かれたものだ。カスタネ氏は出版前、1500万ユーロ(約19億円)で出版を取りやめるよう仲介人を介してオルペア社から話があったとされる。

利用料が月額130万円以上の高級介護施設を運営

オルペア社の運営する高級介護施設は月額1万ユーロ(約130万円)以上の利用料がかかることから、利用者は当然、富裕層に限られる。

高齢化が進むフランスで高齢者から羨望の眼差しで見られていたパリの一等地に建つ施設は、さぞ手厚い介護を受けながら、人生の終末期を優雅に過ごしていると思われたが、とんでもない虐待行為や、大人用おむつの取り換えは1日3回に限定など不衛生な実態が暴露され、ハチの巣をつついたような騒ぎになっている。

この施設は、数年前から内部告発があり、告発した女性職員の話は無視され、もみ消され、職場を追われたが、その女性は今、再度、マスコミの取材が殺到している。ジャーナリストのカスタネ氏も施設から漏れ聞こえる話を聞きつけ、丹念な調査を行い、出版に踏み切ったという。

オルペア社は第三者機関に実態調査を依頼したというが、平等主義が第一の一般フランス人にとっては手抜きサービスで暴利をむさぼる大企業vs富裕層利用者の構図は大衆心理の嫉妬心も刺激し、大注目されている。

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