「フォーマット取引」はテレビを潤すか? 世界に広がる、TBS「SASUKE」の秘密
ただし、日本が番組フォーマット販売のトレンドリーダーかというと、もっとも多くのフォーマットを販売しているのは英国。35%近いシェアを英国が占めている。その理由を尋ねてみると、番組製作時にフォーマット化を意識した企画を練っているからだという。
さて、このように番組フォーマット輸出が数年前から注目され始め、日本は官民共同のプロジェクトとして「TREASURE BOX JAPAN」というイベントをMIPFORMAT(MIPTVに併設されるフォーマット販売専門のトレードショウ)に出展している。
なかでも今もっとも注目を集めているのがTBSの「SASUKE」だ。TBSテレビ・メディアビジネス局・海外事業部長の林慎太郎氏に番組フォーマット販売体制について伺った。
放映157カ国、自主製作6カ国の「SASUKE」
数々の障害物を高い身体能力・バランス感覚で抜けていく「SASUKE」は、現在157カ国で日本版が放送されており、番組そのものの販売実績としても日本コンテンツの中ではかなりのヒット作品と言えるが、現在、それが番組フォーマットとしても拡がっている。
林氏は「現在、6カ国で自主製作されているSASUKEですが、今回のMIPCOMではその2倍以上となる15カ国と番組フォーマット販売で商談をしています」と話す。ご存知の通り、SASUKEを製作するには大規模な障害セットを組む必要があり、安全対策などにも配慮が必要となる。それらも”フォーマット化”されているが、規模が大きいだけに製作予算も大きくなりがちで、脳かべほど手軽に始めることはできない。
大ヒットの要因を林氏は「元々のSASUKEが、米国人に好まれやすい題材だったことが大きな要因。米国でヒットし、現地製作されたことで他国へも一気に拡がった」と話す。
SASUKEは米ケーブルネットワークG4で日本版が「Ninja Warrior」として放映されて人気を得て、2007年にレギュラー番組として定着。3シーズン目からは「American Ninja Warrior」の名称で自主製作が始まった。この時点ですでに番組フォーマット輸出が成功したと言えるが、さらに2012年からはNBCがAmerican Ninja Warriorを全米のネットワークで放送しはじめたことで認知がさらに拡大した。
その余波が今年のさらなるブレイクにつながったが、まだまだこの先もありそうだ。
「SASUKEの番組フォーマットでは、自主製作した番組を販売する権利をTBSが持つという契約をNBCと結んでいます。つまりAmerican Ninja Warriorは、NBCが米国内で放送する権利を持っていますが、米国外では我々のコンテンツとして販売できる契約になっている」(林氏)。
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