グッドウィル折口帝国崩壊! 自滅もたらした日雇い派遣



 GWGは06年10月31日にクリスタルを買収したが、それを東証で開示したのは11月18日。売上高が3倍になる大型買収にもかかわらず、2週間以上、投資家に開示されなかった。 

 GWGが東証に提出した改善報告書では、買収に際して二つの投資ファンドを介在させる形(右図)にし、ファンドは連結子会社の対象にはならないと誤解していたなどと釈明している。しかし、ライブドア事件などを通じてファンドの取り扱いがどうなるかは、すでにこの当時広く知られており、この弁明はかなり苦しい。これほどの重要事項を開示しないのは、インサイダー取引の温床にもなりかねない。 

 また二つのファンドを介在した複雑な買収手法の理由を、同報告書で「クリスタルのオーナーが、同業他社への直接売却を形式的に回避したい意向があったため」と説明する。折口会長は06年の本誌インタビューで、「ファンドとは匿名組合ですから、そこに物を言うこと自体ナンセンス。今は(元オーナーの)林純一氏も納得しているでしょう」と語っているが、関係者によると「林氏はクリスタルを上場させるという条件だったため、500億円という格安で売った。後でだまされたことを知って激怒していた」という。

 買収に際して介在したファンドの資金の出し手などは不明のままだ。東証への開示資料などを読み解くと、クリスタルを直接買ったのはコリンシアンファンドという投資組合。GWGと共にコリンシアンに投資した「その他投資家」の出資金は303億円。最終的には、この「その他投資家」は685億円の現金の分配を受け、クリスタル社の株式24%を受け取ったとみられる。

 おそろしくハイリターンの投資だったことになる。コリンシアンファンドは07年7月に解散、複雑なスキームは闇に包まれたままだ。

 GWGの事業継続には黄信号が点滅している。GWの事業停止処分に加え警視庁の家宅捜索もあり、グループ全体のイメージは更に悪化。株価急落で銀行も警戒を強めている。

 メインバンクでクリスタル買収を含め、GWGの資金の過半を融資してきたのがみずほ銀行。本記事の締め切り時点では未確認だが、そのみずほが2月8日、貸出債権のうちクリスタル買収時の871億円と折口氏の資産管理会社である折口総研への271億円をまとめて売却する入札を実施する模様だ。応札するのはゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレー証券などの外資系証券、ファンドとみられている。

 みずほを含め取引銀行は、昨年秋までにGWGの債権を破綻懸念先に分類し会計上の処理をした模様で、新規融資はストップしたままだ。取引銀行は既に手を引きつつあるように見える。そうした中、日雇い派遣を処分明けの3月に再開した場合、スタッフへの日払賃金が始まる一方で客先からの入金は一カ月以上も先資金繰りの不安も生じかねない。

 極めて複雑な連立方程式を解いて九死に一生を得るのか、はたまた祖業の日雇い派遣とともに沈没するのか。「折口帝国」に残された時間は少ない。
(週刊東洋経済編集部)

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