「こじれた夫婦関係」修復できる・できないの岐路 プロである夫婦問題カウンセラーに聞いてみた

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――タオルの使い方やトイレットペーパーぐらいならば話せば折り合いをつけられそうですね。別々のものを使ってもいいですし。でも、お金の使い方や信仰などは大きな相違があると解決が難しい気がします。実際、金銭感覚の違いを埋められずに離婚してしまう夫婦は少なくありません。

お互いに話し合いができるならば関係修復は可能だと思います。でも、一方がまったく譲らなかったり頑なだったりすると、その相手は嫌になってしまいますよね。

働き方、お金、浮気に関する考え方などは結婚前にお互いの「当たり前」を確認しておくことをお勧めします。配偶者が他の異性がいる場に1人で行くだけでも嫌だという人もいれば、「体の関係さえなければ泊まりがけの旅行に行っても浮気じゃない」と考える人もいるからです。

自分の取扱説明書を相手に渡すつもりで取り組むとよいでしょう。日本ではまだあまり知られていませんが、アメリカなどでは「プリマリタルカウンセリング」といって第三者であるカウンセラーを間に挟んで結婚前に話し合うことが一般的に行われています。

離婚紛争での弁護士とは違い、どちらの側にも立たずに両者が言っていることの通訳や交通整理をするのがカウンセラーの役割です。関係性が悪化してから夫婦でカウンセリングに行くのは難しくても、結婚を予定している恋人と「もっと仲良くなるために行こうよ」という姿勢でならば受けやすいと思います。

「答え合わせ」の重要性

プリマリタルカウンセリングは面白そうな試みだが、すでに結婚生活を送っている既婚者にとっては「時すでに遅し」だ。結婚相手の意外な価値観や生活習慣にびっくり仰天しながらもなんとかやり過ごしていくしかない。

しかし、相手の気持ちを勝手に予想せずに「答え合わせ」をする習慣は今夜からでも実践可能だと思った。「あの人は自分のことをこう思っているに違いない」という決めつけが怒りを増幅させ、相手への態度も悪くなり、結果として関係性がますます悪化させたりする。それを避ける道はあるのだ。

他の人間関係とは違い、夫婦は2人きりになる時間が少なくない。それだけ仲違いもしやすいけれど、仲直りできるチャンスも多い。不機嫌な配偶者に話しかけるときは「なんであんなことで怒ってんだよ!」ではなく、「何かあった? あのことで怒っていると僕は思うけど、合ってる?」を口癖にしたい。

大宮 冬洋 ライター

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おおみや とうよう / Toyo Omiya

1976年埼玉県生まれ。一橋大学法学部卒業後、ファーストリテイリングに入社するがわずか1年で退社。編集プロダクション勤務を経て、2002年よりフリーライター。著書に『30代未婚男』(共著、NHK出版)、『バブルの遺言』(廣済堂出版)、『あした会社がなくなっても生きていく12の知恵』『私たち「ユニクロ154番店」で働いていました。』(ともに、ぱる出版)、『人は死ぬまで結婚できる 晩婚時代の幸せのつかみ方』 (講談社+α新書)など。

読者の方々との交流イベント「スナック大宮」を東京や愛知で毎月開催。http://omiyatoyo.com/

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