「ペプシモンブラン」は不味いはず?~恒例の変わり種・味予測~《それゆけ!カナモリさん》

 変わり種ペプシの狙いは、その話題性喚起を、マス広告などを全く用いずに口コミで伝播させることにある。発表された「ペプシモンブラン」の話題は、既にBlogやSNS、Twitterに記載されている。この記事もその一つになる。話題性を喚起して、変わり種ペプシをコンビニの棚に並ばせる。多くの店は、その限定期間中、ペプシのNEXなどのレギュラー商品も棚のフェイス数を増やす。それこそが、狙いなのである。

 コカ・コーラに対するペプシ。日本コカ・コーラに対するサントリー。その構図はリーダー対チャレンジャーである。強大な力を持ち、全方位で戦うリーダーに対し、チャレンジャーは徹底して差別化を図る。リーダーがやらないこと、できないことを展開するのである。

 「スカッとさわやかコカ・コーラ」というキャッチコピーは実は登録商標されている。それだけに、「さわやかさ」はコカ・コーラにおいて重要なブランド資産なのである。故に、「変わり種コカ・コーラ」は絶対に発売しない。そこでチャレンジャーであるペプシが差別化をかけるのだ。

 本来、変わり種ペプシは「さわやか」だったり「美味しい」だったりしてはいけないのである。「ビミョー」だったり、「不味い!」だったりすることが、差別化のキモなのだ。衝撃のキューカンバーの不味さで大成功し、ブルーハワイでそれを継承。ホワイトとしそでは、ビミョー程度にトーンダウンしたが、あずきで美味しくなりだして、バオバブでついに美味しさが完成してしまった。これはいけない。

 今回の「モンブラン」では、一気に本来のポジショニングに修正をかけてくる可能性が予想できる。バオバブとは打って変わって不味くなるのだ。「栗」ではなく、「モンブラン」というあたりが怪しい。あずきのような素材感ではなく、スイーツとしての甘みを極端に強調してくるのではないだろうか。もとより、変わり種のレギュレーションは、甘味料を使ったゼロ系飲料とは異なり、パンチの効いた砂糖・糖分の甘みが特徴だ。劇甘な気がする。そして、ビミョーなケミカルさも復活するかもしれない。

 以上のように、筆者は「ペプシモンブランは不味いはずだ!」と予想する。しかし、その味がどうであろうと、早々とこれだけ話題にしてしている時点で、サントリーの戦略にはまっていることだけは間違いないのである。

《プロフィール》
金森努(かなもり・つとむ)
東洋大学経営法学科卒。大手コールセンターに入社。本当の「顧客の生の声」に触れ、マーケティング・コミュニケーションの世界に魅了されてこの道18年。コンサルティング事務所、大手広告代理店ダイレクトマーケティング関連会社を経て、2005年独立起業。青山学院大学経済学部非常勤講師としてベンチャー・マーケティング論も担当。
共著書「CS経営のための電話活用術」(誠文堂新光社)「思考停止企業」(ダイヤモンド社)。
「日経BizPlus」などのウェブサイト・「販促会議」など雑誌への連載、講演・各メディアへの出演多数。一貫してマーケティングにおける「顧客視点」の重要性を説く。
◆この記事は、「GLOBIS.JP」に2010年9月24日に掲載された記事を、東洋経済オンラインの読者向けに再構成したものです。
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