アウディの大胆なEV転換に不安と期待が混じる訳 日本で2025年にBEV1万台の目標達成に何が必要か

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アウディ ジャパンとフォルクスワーゲン ジャパンの社長を兼務するマティアス・シェーパース氏(写真:アウディ ジャパン)

シェーパース社長はその方策として「まずは販売店によく説明をして、賛同を得たうえで発信していきたい」と強調した。BEVの未来を語るためには、まずは何より自分たち、そしてビジネスパートナーがそれを理解し、信じていなければならないというのは、至極真っ当な話である。特に日本では、ディーラーがユーザーとのインターフェイスとして非常に重要な役割を果たしているだけに「今はここにたくさんのエネルギーを使っています」とのことだった。

もちろん賛同とは、気持ちだけの話ではない。BEV戦略のために重要なのは急速充電器のネットワークだとシェーパース氏は強調した。

現在、アウディはBEVを扱うe-tronディーラーを設定しており、ここには急速充電器が設置されている。現時点では50kWが42箇所、90kWが8箇所に備わるが、シェーパース氏は「50kWは急速充電じゃないです。遅い」とハッキリ述べて、2022年半ば以降は順次、150kWへと切り替えていくという方針を示した。いずれは全ディーラーに150kWの急速充電器を設置するという。

アウディだけでなくVWグループの総力を結集

150kWの出力があれば、e-tron GTのように車両が対応すれば10分ほどの充電で百数十km走行可能な電気を蓄えられる。積極的にディーラーに寄って、トイレやコーヒーなどの時間に充電してもらって……というのが、描かれたかたちである。

それだけには留まらない。今後はアウディだけでなく同じグループであるフォルクスワーゲン ジャパンのディーラーネットワーク、そしてそこにある急速充電器も使えるようにしていくという。そうなれば店舗数は250以上に達することになる。

実はシェーパース氏はフォルクスワーゲン ジャパン社長も兼務している。両社は傘下のベントレー、ランボルギーニを含めて氏の下で統合を進めており、そのメリットをフルに活かすかたちになる。

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