アウディの大胆なEV転換に不安と期待が混じる訳 日本で2025年にBEV1万台の目標達成に何が必要か

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充電器が十分に行き渡らなければBEVの普及はそもそも難しい(写真:アウディ ジャパン)

ディーラーに急速充電器をつけるより、こうした地域に150kW充電器を複数備えたプレミアム感あるカフェでも開いてくれたほうが、よほどプレミアムカー購買層にとっては「BEVでも大丈夫かな」という意識の向上に繋がるのではないだろうか。そもそも週末のディーラーが、充電を求めるクルマであふれかえっても笑顔で対応してくれるのかという話でもある。

そうしたことは思いつつも、会見後にある種の爽快感のようなものを覚えたのは、100年に1度の変革という将来が不安な中でトップがこれまでになく明確に進むべき道を示したと感じたからだ。しかも独りよがりにトップダウンでという話ではなく、ディーラーと一緒になって進めていきたいと強調していたところは、プレミアムブランドのリーダーとしては至極正しい。

アウディの風向きが変わってきた

ここ数年のアウディはマイナーチェンジのように代わり映えのしないフルモデルチェンジが多く商品としての魅力が薄かったし、いかにも代理店的なマーケティングも時代にそぐわない感が否めなかった。それがここにきて、まさにBEVのe-tron GTのような魅力的なラインナップが登場し、そしてこのように将来へ向けた明確な方針も示された。風向きが変わってきたのかなと感じる。

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正直、私はそれだけ急角度でのBEV販売像には、まだまだ非常に懐疑的ではある。しかしながらシェーパース氏のこの先の実行力、そして魅力的な商品の登場には何か期待できそうとも感じた。ブランドビジネスにとって、これはまさに一丁目一番地の肝心なことと言っていいのではないだろうか。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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