アウディの大胆なEV転換に不安と期待が混じる訳 日本で2025年にBEV1万台の目標達成に何が必要か
1月17日にアウディ ジャパンは都内で年頭記者会見を行った。朝、会場につくとまずは週末の間に急遽決まったという抗原検査を受ける。COVID-19を取り巻くこの状況下でもオンラインとはせず直接言葉を伝えたいという思いが、そこからは伝わってきた。メインスピーカーは昨秋に就任したばかりのアウディ ジャパン新社長、マティアス・シェーパース氏である。
この日のハイライトは599万円からという意欲的な価格設定で登場した新型バッテリーEV(以下BEV)、「Q4 e-tron」の発表だったが、その前にはシェーパース氏によってアウディ ジャパンの積極的な電動化戦略、要はBEVシフトについて説明がなされた。
アウディAGの方針として示されているのが、2025年に内燃エンジンを搭載する最後の新型車が投入され、2026年以降に新たに発表されるモデルはすべてBEVとなる。そして2033年には内燃エンジンの生産を終了……ただし中国を除くという“?”な注釈付きで……というスケジュールである。
年間332台を4年で1万台以上に引き上げられるか
さらに、2025年までに車両のライフサイクルにおけるCO2排出量を2015年基準で30%削減し、2050年までにゼロにするという「Mission:Zero」も掲げられている。そのうち排出量の2割を占める生産工程については、BEVを生産するベルギーのブリュッセル工場が、すでにカーボンニュートラルを実現しており、2030年までにはすべての工場がこれに続く予定だ。また、大規模な太陽光発電、風力発電なども手掛け、BEVユーザーに再生可能エネルギーによる電力供給を行っていくかたちを作っている。
では日本はどうするのか。まず数字として掲げられたのが、2025年にBEV比率を35%、台数として1万台以上販売するというものだ。2021年のアウディの日本国内での販売台数は前年比1%増の2万2535台。そのうちBEVのe-tronモデルは332台で、つまりBEV比率は1.5%だった。それを4年で30倍の台数まで引き上げるというのだ。当然、それは簡単なことではない。
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