東京オートサロン2022に見る5つの最新トレンド 自動車メーカーやユーザーニーズを分析する

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ルーフテントを装備したデリカD:5(筆者撮影)

ほかにも三菱自動車では、ミニバンの「デリカD:5」に同じくルーフテントを装備した仕様、ホンダでは軽ハイトワゴン「N-WGN」のピクニック仕様などを展示。各社とも、近年のアウトドアブームに対応したカスタマイズの提案を行っていた。

ハイゼット トラックをベースにしたキャンパー仕様(筆者撮影)

一方、アフターパーツメーカーやショップのブースでも、屋根にルーフテントを設置したデモカーが大量に展示されていた。車種もトヨタ「ハイエース」などのワンボックスカーや「アルファード」などのミニバン、スズキ「キャリイ」などの軽商用バンからダイハツ「ハイゼット トラック」といった軽トラックまで、多種多様。また、屋根の一部を改造し、停車中に上方へ展開すると就寝スペースになる「ポップアップルーフ」といった本格的装備のキャンピングカーなども展示されていた。

LX600オフロード ジャオスver.の外観(筆者撮影)

キャンプ関連だけでなく、悪路走行を考慮したカスタマイズ車両も盛況だ。たとえば、レクサスでは、2022年1月に発売したSUVモデル新型「LX」をベースにしたカスタマイズカーを、オフロード系老舗ショップ「ジャオス」と共同製作。オーバーフェンダーなどでアグレッシブなスタイルを演出した「LX600オフロード ジャオスver.」を出展した(展示ブースはジャオス)。ほかにも、スズキ「ジムニー」のカスタマイズカーもかなり目立った存在だった。いずれも、外装にガード類などを施したワイルドな外観と、車高のアップなどでオフロード性能を向上させたタイプが多く、さまざまなブースで見ることができたのが印象的だった。

時代のニーズが色濃く映し出される東京オートサロン

筆者は、東京オートサロンを約20年間にわたり取材してきた。毎回感じるのは、当イベントに展示される車両の多くに、その時々における「クルマのトレンド」がかなり反映されることだ。もちろん、長年変わらないスタイルや手法も多いが、ベースとなる車種や、カスタマイズの方向性などについては、時代のニーズが多く取り入れられていることを感じる。

また、数十年前までは出展すらなかった自動車メーカーが、近年はブース参加だけでなく、展示内容にかなり注力していることも実感できる。それだけ、当イベントの来場者が自社ブランドの製品を直接購入してくれる「大切なお客様」であることがメーカー各社にもわかってきたということだろう。いずれにしろ、2022年における自動車業界イベントの幕開けとなった東京オートサロン。今回は、収容人数の制限により、通常よりも来場者数も少なかったが、2023年には通常の形で開催されることを願いたい。

平塚 直樹 ライター&エディター

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ひらつか なおき / Naoki Hiratsuka

1965年、福岡県生まれ。福岡大学法学部卒業。自動車系出版社3社を渡り歩き、バイク、自動車、バス釣りなどの専門雑誌やウェブメディアの編集者を経てフリーランスに。生粋の文系ながら、近年は自動運転や自動車部品、ITなど、テクノロジー分野の取材・執筆にも挑戦。ほかにも、キャンピングカーや福祉車両など、4輪・2輪の幅広い分野の記事を手掛ける。知らない事も「聞けば分かる」の精神で、一般人目線の「分かりやすい文章」を信条に日々奮闘中。バイクと猫好き。

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