鈴井貴之「9割は失敗」が『水どう』を生んだ必然 北海道だったから「一か八か」が可能になった

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── 現在、鈴井さんが主宰している演劇プロジェクトOOPARTSでは、2022年2月より舞台『D-river』を上演しますが、そのテーマも「人間は人工知能AI(愛)と共存できるのか!?」ということで、まさに鈴井さんの視点のおもしろさを予感させます。その発想はどこから来たのですか?

鈴井:AIと言っても、炊飯ジャーから冷蔵庫までAI搭載とか、将棋の藤井聡太さんの対局までAIが予想するというように、いろんなところにAIがありますよね。最近だとクルマにもAIが搭載されていて、僕は北海道で頻繁に運転をするものですから、自動運転が進化すれば、田舎暮らしの高齢者も体が不自由な人も、ずいぶんラクになるだろうな、と。

ただ、現状としては運転アシストで抑えられているけれど、本当は人工知能とかロボットの技術ってかなり進んでるんじゃないかと思うんです。ただ、ここからは推測ですけど、実際に実用化したら、バスやタクシーの運転手、配送業の人、自動車整備工や自動車教習所など、膨大な自動車産業に関わっている人たちが失業してしまう。それは大変なことだなって。

そこには実は、いろんな企みや暗躍する人たちがいて、技術の壁というよりも、人間側の問題が存在するんじゃないかと。そういう意味での人間とAIとの共存を想像しながら、今回の物語を作り上げています。

みんな50歳過ぎてるけど、本来の自分たちに戻ってバカやろうぜ

── 出演する役者陣が、渡辺いっけいさん、温水洋一さん、田中要次さんなど個性派ぞろいで、すでにおもしろい舞台が期待されますが、どのようにキャスティングされたのでしょうか。

鈴井:勝手知ったる方たちです。かつてOOPARTSの舞台に出たことがある方たちばかりで、温水さんとはドラマでもご一緒したことがありますし、和気あいあいと楽しく稽古に入れる感じですね。しかも、これだけのキャリアと個性のある方たちが、出し惜しみなく自分のスキルを出してくださったら、相乗効果としておもしろいものこの上ない芝居になると思います。

みなさん年齢的に、どの現場でも上のほうの先輩になるので、後輩がいたら大人の素振りを見せなきゃならないですが、僕も含めてみんな50歳過ぎてるけどバカなんですよね(笑)。もはや同級生が集まったら先輩ぶる必要もないので、「本来の自分たちに戻ってバカやろうぜ」みたいな感じでやれればいいな、と。「おっさんが何ハジケてんのよ」っていう舞台を作り上げたいと思って、みなさんにお願いしました。

次ページ今回のテーマは「青くさくやりたい」
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