連日のように食品の値上げが報じられている。消費者物価に先行する投入物価指数(食料品)の上昇を考えると、「実質値上げ」が相次いで行われた2014~16年と同程度まで食品の値上げが行われる可能性がある。
筆者は食品価格の上昇が家計のマインドに悪影響を与える可能性が高いと考えており、昨年9月に「これから『食品値上げ』の波が家計を圧迫する」とのコラムを執筆していた。
食品値上げが一段と進展していく中、家計が値上げを受け入れることができるか否かには一段と注目が集まっている。今回のコラムでは家計調査の結果による「購入単価指数」を用いて分析し、現在の家計の「値上げ耐性」を考える。
結論を先に述べれば、足元の家計はコロナ禍で「高価格」の食料品を受け入れているが、「経済再開」によって消費の自由度が高まることで、「低価格志向」が強くなる(「値上げ耐性」が低下する)可能性が高い。
家計は「安い商品」に向かっているのか?
最も一般的な価格指数は消費者物価指数(CPI)である。ただし、CPIは基本的に代表的な一部の品目の価格を定点観測したものであり、家計の「低価格志向」(同じ種類の品目の中で低価格商品を選好する動き)は反映されない。
他方、家計調査の品目別の「支出金額」を「購入数量」で割って作成した「購入単価指数」は、家計が実際に購入したものの単価を用いて算出されるため、毎月の家計の選好を知ることができる。
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