経済財政諮問会議の民間議員を務める中空麻奈氏は「財政再建派」と「リフレ派」の二項対立について「そろそろ卒業すべきではなかろうか」とし、「無駄を省いた財政規律の確立」が望ましいとした(日経新聞11月19日付)。
一定の財政健全化が必要であると考える筆者も、「財政再建派と積極財政派」の対立は生産的ではないと考えている。「自国通貨建ての国債はいくら発行してもデフォルトしない」というMMT(現代貨幣理論)の主張は「やってみないとわからない」という面があり、議論したところで答えは出ない。
一方、先日の自民党総裁選で積極財政派の高市政調会長が善戦したこともあり、MMT派・リフレ派への注目度が、特にネット社会で増している。しかし、このような主張が盛り上がれば盛り上がるほど、筆者は「国民全員がMMT派・リフレ派になったら、さすがに財政が発散(野放図に膨張)する」と思う。いずれにせよ、どちらかの主張に意見が収れんすることはないだろう。
財政政策の是非と財務省の管理政策を別個に評価
今回のコラムのポイントは2つある。1つ目は「財政再建派=財務省」という見方を改める必要があるということ。2つ目は、財政再建派の中心である財務省の「管理政策」が、むしろ財政規律を弛緩させている可能性があるという点を指摘することである。
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