香川真司が「ベルギー1部」に移籍する深い事情 シントトロイデンとの思惑は一致するのか

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香川自身はピッチ外も含めて多大なるプレッシャーを受けるわけだが、それは日本代表でもドルトムント、マンU時代も同様で、外野の雑音をシャットアウトすることには慣れているはず。立石CEOや日本人スタッフのサポートを受けながら、完全復活に向けて集中することができるだろう。

彼は13日に渡欧し、14日にメディカルチェックを受け、正式契約を締結するという。その後、就労ビザ取得を待ってトレーニング合流となる。それにどれくらいかかるはわからないが、サラゴサを離れてから1年半近く、実戦から遠ざかっていることを考えると、公式戦デビューには時間がかかりそうだ。少しずつコンディションを上げて2月中にもフル稼働できるようになれば、シーズン終盤には間に合いそうだ。

カタールW杯逆転滑り込みの道も?

STVVは目下、13位と下位グループにいるが、8位以内でレギュラーシーズンを終えられれば、5~8位の下位プレーオフに進出できる。そうなれば公式戦試合数が増えるため、香川にとっては活躍のチャンスが広がる。さらに勝利チームになれば、22-23シーズンのUEFAカンファレンスリーグ出場権を手にできる。その立役者となれれば、2019年6月から遠ざかっている日本代表復帰、あるいはカタールW杯逆転滑り込みの道も見えてくるかもしれない。

「2年間代表には絡んでいないですけど、思いは非常に強いですし、今年はW杯イヤー。つねに目指している場所ではあります」と彼自身も意欲をむき出しにしていた。

“欧州最後の砦”ともいえる環境で、はたして香川は完全復活し、チームの成績も引き上げ、経営面にも寄与するという最高の循環に持っていけるのか。2022年はSTVVにとっても非常に大きな節目の年になりそうだ。

元川 悦子 サッカージャーナリスト

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もとかわ えつこ / Etsuko Motokawa

1967年、長野県生まれ。夕刊紙記者などを経て、1994年からフリーのサッカーライターに。Jリーグ、日本代表から海外まで幅広くフォロー。著書に『U-22』(小学館)、『初めてでも楽しめる欧州サッカーの旅』『「いじらない」育て方 親とコーチが語る遠藤保仁』(ともにNHK出版)、『黄金世代』(スキージャーナル)、『僕らがサッカーボーイズだった頃』シリーズ(カンゼン)ほか。

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