香川真司が「ベルギー1部」に移籍する深い事情 シントトロイデンとの思惑は一致するのか

拡大
縮小

STVVには目下、日本代表経験のあるシュミット・ダニエルや橋岡大樹、東京五輪代表の林大地ら6人の日本人選手がいる。彼らが冨安や遠藤航のように欧州5大リーグに飛躍してくれれば、クラブには巨額の移籍金が入る。ドイツ、イングランドで活躍し、W杯にも二度出場している香川がそのアシスト役になってくれれば、クラブ側も有難い。間もなく33歳になる彼ならば、その役割は十分に担えるはずだ。

もう1つSTVV側にとって大きいのは、香川獲得による宣伝効果だろう。コロナ禍に突入した19-20シーズンは当初の見通しよりやや少ない約20億円の売り上げを確保したというが、その後もコロナによる観客制限が続き、その後も思うように収入を伸ばせない模様だ。

昨年末の株主総会でも、20-21シーズンには約500万ユーロ(6億5000万円)の損失計上が報告された。21-22シーズンの真っ只中である今も新型コロナのオミクロン株が拡大。経営環境的に逆風にさらされている。だからこそ、さらなるスポンサー獲得などテコ入れ策が必要になる。少なくとも今季は損失幅を大幅に圧縮し、プラス転換できるような基盤を作ることが肝要だ。そこはオーナー企業であるDMM.com側も重視している点ではないか。

スポンサー拡大の可能性

現時点での同クラブのスポンサー一覧を見ると、プラチナスポンサーがDMM.com、ゴールドスポンサーが不動産業のbig ones、ファッション企画販売業でスーツサプライヤーでもあるAOKIなど8社、シルバースポンサーがセカンドユニホームデザインを手掛けているビームスなど22社あり、それ以外にも数多くの企業のサポートを受けている。

香川真司ほどの世界的知名度を誇る有名選手が加入すれば、スポンサー拡大の可能性は大いにある。とりわけ、日系企業に比べて少ない現地ベルギー、あるいは欧州のスポンサー企業が協賛に名乗り出てくれることも考えられる。メディアへの露出効果も含め、彼の存在価値はまだまだ絶大と言っていい。

次ページカタールW杯逆転滑り込みの道も?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT