香川真司が「ベルギー1部」に移籍する深い事情 シントトロイデンとの思惑は一致するのか

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本人も「PAOKはギリシャでビッグクラブですし、やりたいサッカーがイメージできた」と前向きに語っていた。だが、それだけの厚遇となれば、クラブ側も要求も高い。それに応えようと彼自身も前向きに取り組んだが、長期間のブランクやケガなどが重なり、ドルトムントやイングランドの名門、マンチェスター・ユナイテッド時代のような輝きを取り戻せなかった。このため、2021年夏からスタートした今季はほぼ出番がなく、事実上の戦力外に。12月18日に双方合意のうえ、契約解除となるのもやむをえない判断だった。

そこに救いの手を差し伸べたのが、日本企業「DMM.com」がオーナーを務めるSTVV。立石敬之CEOはFC東京GMとして手腕を振るい、現在もアビスパ福岡の顧問として強化に携わる人物だ。冨安健洋(アーセナル)や遠藤航(シュツットガルト)らの欧州挑戦の道を開き、大きく羽ばたかせた人物としても知られる。ロシアW杯以降の香川の動向もつぶさにチェックしていて、「欧州クラブ経営者として、日本屈指のスターに立ち直りのきっかけを与えなければいけない」という責任感を募らせていたに違いない。

「新しい香川真司を作っていきたい」

1月11日の会見でも、彼はこんな話をしていた。

「香川選手への期待は2つあります。1つはピッチ上のプレー。近年、彼を獲得したクラブはドルトムントやマンU時代の全盛期の彼のイメージを持っていました。が、われわれは(ドイツ人のベルント・ホラーバッハ)監督と相談し、少しボールを触ってゲームを落ち着かせたり、コントロールする新しい香川真司を作っていきたいと考えています。

もう1つは経験値。STVVは若手を欧州舞台でステップアップさせる窓口。実績ある香川真司の獲得はわれわれにとっても新たなチャレンジになります。彼の存在はピッチ内外で若い選手にいい影響を及ぼしてくれる。成長に貢献してくれると信じています」

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