ニベアを支持する人がハマる圧倒的安心感の裏側 半世紀も「冬の定番」譲らず、「触れ合い」も訴求

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CMや広告でも決して声高に強調はせず、穏やかな訴求を行う。その商品特性ゆえ夏場は強くないが、前述のハンドケアやボディケア意識の高まりは一定の追い風となった。

大型店舗では「ロイヤルブルー」シリーズも展開されていた(筆者撮影)

「混ぜるとシミが消える」広告への対応

ところでマーケティングの手法を「狩猟型」と「農耕型」で分ければ、ニベアは間違いなく後者だ。それは企業姿勢であるコーポレート対応でも同様だ。

昨年12月3日、ニベア花王は公式ツイッターで次の一文を発信した。

「ニベアクリームと●●を混ぜるとシミが消える」という類の広告にニベア花王は一切関与しておりません。
ニベアクリームを、他の製品と混ぜて使わないでください。
他の製品を混ぜると、ニベアクリーム本来の特長や成分の働きなどがそこなわれてしまう可能性があります。

数年前から同商品に他の製品を混ぜるとこんな効果がある、といった情報(記事や動画)がネットを中心に目立つようになった。これまでも公式サイトで注意喚起を行い、消費者からの問い合わせにも答えてきたが、同社の発信は話題を呼び、取材も多かったと聞く。

相手の土俵に上がるのではなく、自社のスタンスを伝える姿勢で対応する。

ロングセラーの条件は「定番化」と「時代性」

「実はニベアの成分は、高級ブランド『ドゥ・ラ・メール』に近い」という情報が流れたこともある。今回、30代の女性たちに聞いてみたが、全員がこの情報を知っていた。ただし、ニベアを使う人もいれば、使わない人もいた。総じて冷静に向き合っているようだ。

多くのブランドを取材して感じるのは、ロングセラーになる条件は、まずは定番化。商品が一定期間支持されて「日常生活の風景として溶け込むか」だと思う。そして時代に取り残されないことも大切だ。美容商品なら「おばあちゃんの家の鏡台にあった」(ようなイメージ)となると、若年層からは支持されにくい。

そうならないためには、新商品やマーケティングでブランド鮮度を保つ必要もある。ニベアは今のところ、コスメ・美容の情報サイトでも高い評価を得ることが多い。

「商品のターゲット層は基本的には老若男女ですが、データ等で見ると20代30代も構成比として高いです」と同社は話す。消費者の感性への訴求がうまくいっているようだ。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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