スノボ五輪メダリストが明かす「卵子凍結」の理由 「出産した選手へのサポートがもっと必要だ」

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「まずは目の前に競技に全力を尽くしたい。きっと私が子どもを産むという選択をしたときは、本当に心から欲しいと感じて産む子どもなんだろうなと思います。そうやって生まれた子には100%の愛情を注いであげたい。自分の時間を全て捧げられるはずです」

卵子凍結を経て、競技を続けることと、「いつか子どもを持てる」という可能性の両方を手にした竹内さん。今回は個人の選択によって「自分らしい今」をかなえたが、卵子凍結をするかどうかにかかわらず、誰もが「産みたいときに産める社会」が必要なのではないかと問い掛ける。

「産むこと」をハンデにしない

「これからは、女性が出産しても仕事を続けやすい環境や、男性が育児参加しやすい環境を、アスリートの世界でもつくっていけるといいなと思います。

誰もがキャリアに不安を抱くことなく、欲しいときに子どもが持てるようになるのが一番いい。でも、今はそれらを実現できる環境がまだまだ整っていないし、解決しなければならない課題が多いのも現実。

そういった現代社会の中で、個人が持てる選択肢の一つとして卵子凍結があるという認識ですね」

(写真:赤松洋太)

近年は、出産後にも第一線で活躍する女性アスリートが徐々に増えてきた。

しかし、竹内さんが話す通り、産後に競技復帰を目指す環境が日本で整っているとは言い難い。

竹内さんの競技も、妊娠・出産で休んでいる間はW杯などレースに出られないため、オリンピックの代表選考にもかかわるFIS(国際スキー連盟)のポイントは失効する。

ドイツやオーストラリア、スイスのナショナルチームでは、選手が育休から復帰する場合、過去の実績があれば、チームに入る基準を満たしていなくても下部の大会からではなくトップカテゴリの大会に出場できる保証があるそうだ。しかし、日本の環境は妊娠/出産した女性アスリートにとってはいまだ厳しい。

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