スノボ五輪メダリストが明かす「卵子凍結」の理由 「出産した選手へのサポートがもっと必要だ」

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一時は「このまま引退していいかも」という考えも脳裏をよぎったが、自分自身と向き合う時間が増えたことで、あらためて日常にスノーボードがある素晴らしさを再確認。「自然と戻りたいという気持ちになっていた」と話す。

ただ、競技も続けたいけれど、「子どもも欲しい」という葛藤があった。

復帰するなら、38歳で迎える北京五輪まで妊娠は考えられない。最低でも2年近く競技を離れなければならないからだ。子どもも諦めないための可能性を残す必要が彼女にはあった。

妊娠や出産にもタイムリミットはある。卵子は年齢とともに老化していくし、「35歳をこえると、さらに妊娠しづらくなる」というのが通説だ。だからこそ、競技再開を決めた時点で卵子凍結することを選んだ。

卵子凍結の公表で、ずいぶん楽になった

竹内さんが練習拠点としていたヨーロッパでは、卵子凍結や体外受精、不妊治療などについてオープンに話せるカルチャーがある。看護師や助産師など医療関係の知人からも話を聞いていたため、20代のころから卵子凍結の選択肢は頭の中にあったという。

「より競技に集中するために」と、昨秋、卵子凍結を公表すると、予想以上の反響があった。

以前は、取材の場などで必ずといっていいほど聞かれていた「いつ結婚するのか」「いつ出産するのか」という質問も、以前と比べて減っていると竹内さんは明かす。

「30歳前後から、『結婚は?』『子どもは?』と記者や周囲の人から聞かれることが多くなって。最初は気にしていなかったんですが、年々それがストレスになっていきました。

昨年、卵子凍結を公表していなければ、きっと今もそういった質問をされていたんじゃないかな。興味本位で聞かれるようなことがなくなって、ずいぶん楽になりました」

(写真:赤松洋太)

約束されるわけでは決してないが、妊娠・出産の可能性も残せたことでストレスがなくなり、よりいっそうスノーボードに集中できるようになった。「以前にも増して、のびのびと生きられるようになった気がする」と竹内さんは笑顔を見せる。

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