DXを進めると組織に「新しい発想」が生まれる理由 実験を認めない企業のデジタル化は掛け声倒れ

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戦略の立案をしたものの、社内調整が行われ、結果として可もなく不可もない戦略に落ち着いてしまうことがあります(写真:tadamichi/PIXTA)
戦略の立案は会社の一大事だ。情報収集、分析、ディスカッション、取りまとめ、文書化、おびただしい時間が費やされる。経営陣はもちろんのこと、多くの人材を巻き込み、数カ月をかけて戦略を立案していく。その中では社内調整が行われ、結果として予定調和的な可もなく不可もない戦略に落ち着いてしまう。
「短期間」でかつ「少人数」でつくったほうが優れたものができると考えるのは、長く戦略コンサルティングを行ってきた金巻龍一氏。氏の著書『戦略質問』より抜粋して、少人数かつ短期間での戦略立案するための「問いかけ」「質問」について紹介していく。

「黒電話とは何か」がわかる世代の役割

「戦略」という言葉を聞いて、どういうイメージをおもちだろうか。ひと昔、いやふた昔前だったら、「組織の偉い人がつくるもの」だったかもしれない。企業の戦略となれば生命線であり、それゆえ「神聖で厳かなもの」だったかもしれない。

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しかし、今はどうか。何かにつけて「戦略」という言葉が使われ、あちこちで目にするようになり、組織の偉い人ばかりではなく、ミドル、そして場合によっては若手も巻き込まれていく。今のデジタル・トランスフォーメーション(DX)戦略などは、その代表だろう。

DXを戦略として考えていくと、「その目的は何か」「何を目指せばいいのか」「そもそも、何から始めたらいいのか」というようなちょっと大上段なところから始まってしまうだろうが、そうしたところからいったん、離れて考えてみるのがおすすめだ。

戦略コンサルタントである筆者は、クライアントとの会話で、次のような問いかけをして、DXについて議論をすることがある。

あなたの会社はスマホのアプリのダウンロードに寛容ですか?

この問いかけは、誰が聞いても、ちょっと意図不明だろう。筆者は「ちなみに」と最初につけて、余談めいた形で何気に聞いたりする。

これは、DXに造詣が深いジャパン・マネジメント・コンサルタンシー・グループ合同会社代表の大野隆司氏とDXの実態について議論したときに思いついた。DXの課題について語る彼の口から出てきた言葉が、あまりにも意外で、それでいて核心をついていた。顧客との会話の中で、そのような議論に誘導することを目的に、問いかけ形式にしてみた。

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