例年であれば、就職ナビのオープン時におおよその新卒採用数は決まっているはずだが、今年は2011年度よりも円高の行方が不透明だ。製造業のみに特化している就職情報業界の営業担当は、「どこも採用計画を決められなくて“待ちの姿勢”」という。
就職ナビの掲載企業は昨年並みの可能性が高いが、円高の進行によっては年内のプレエントリー受け付け、年明けからのセミナー受け付けをしないか、遅らせる企業が増えるだろう。
逆の事態もあり得る。しかし1ドル=90円台に戻っても企業心理は臆病になっているから、積極的採用を行う企業は少ないと思う。
●目立ち始めた外国人留学生の採用
「厳選採用」という言葉は、企業の採用活動が活発になってきた2004年ごろから一般化した。数合わせをせず、「質」重視。いい学生が少なければ、その年の採用はそこで終える。この傾向はずっと続いている。しかし2012年度採用では、新しい「質」に目を向ける企業が増えてきた。留学生だ。これまでも日本人留学生採用は行われていた。ボストンで開催されるフォーラムには1万人もの留学生が集まるという。しかし最近目立ち始めたのは、日本の大学に在籍する外国人留学生だ。
「日経就職ナビ」を運営するディスコが、9月9日に「外国人留学生の採用に関する調査」を発表している。全国の主要企業1万3421社が対象で回答企業は923社。
2010年度に外国人留学生を「採用した」企業は11.7%。2011年度の採用見込みで、「採用する」企業は21.7%。約2倍になっている。
海外拠点を持つ企業が外国人を採用するのは当たり前。2010年度は19.8%が採用し、2011年度は36.1%に高まっている。また、海外拠点を持たない企業でも6.4%から12.3%へ「採用」の割合が高まっており、いずれも約2倍だ。
採用した外国人留学生をどこに配属するのか。2010年度採用の外国人留学生は、80.8%の企業で日本勤務だった。もっとも、「日本での勤務だが将来は海外」という企業も23.2%ある。「海外での勤務」はわずか1.0%にすぎず、採用した外国人留学生は日本人と同様の採用枠であることがわかる。
外国人留学生を採用する目的は何か? 7割以上の企業が「優秀な人材を確保するため」と回答している。
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