知らないと恥をかく、そばの「3つの食べ方」 そばをおいしく食べるプロの全スキル、教えます

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最初に「そば」を頼んで、茹で上がる待ち時間に「つまみ」を食べる

N君:普段は立ち食いそばばかりなので、こういう老舗のそば屋はどうも落ち着かないですね……。値段も立ち食いそばより高いですし……。

河岸:まあ、新刊にも書いたように、立ち食いそばは「茶色いうどん」だからね。店によっては、そば粉が1~2割しか入っていないものを「そば」といって平気で売っているのは、法律上は問題なくても、いかがなものかと思う。もちろん小麦粉が8~9割だから、あの値段で出せるという側面もあるけどね。それと比べたら、普通のそば屋が気の毒だよ。同じ「そば」という名前でも、まったく違う食べ物だから。

N君:たしかに、「そば」なのにそば粉が1~2割しか入っていないのは、庶民感覚からすると違和感がありますよね……。チェーン店によって、そば粉の割合は全然違うみたいですが……。それにしても、まだ夕方の4時だというのに、この店は混んでいますね。みなさん一杯やりながら話し込んでいます。あの白髭のおじいちゃんなんて、こなれていてカッコいいですね。

河岸:「そば屋で呑む」というのは大人の愉しみのひとつだからね。僕らも早速、注文しよう。

N君:(メニューをのぞき込み)え~っとですね……(顔を上げて)何を頼めばいいんですか?(笑)

河岸:ガクッ。なんか寿司屋と同じパターンだね(笑)。

N君:だって、寿司屋と同じで、何か「粋な頼み方」があるんですよね?

河岸:いや、基本的には、自分の好きなものを好きなように頼めばいいよ。しょせん、そば屋はそば屋なんだからさ。江戸時代のファストフードだよ。

N君:ただ、「おいしい頼み方」があるんじゃないですか?

河岸:「頼み方」でいうと、こういう店は自分でそばを打って、それを切って茹でて出すから、できるまでにどうしても20分ぐらいはかかる。だから、まずはそばを頼んで、待っている間に、卵焼きや板わさ、海苔なんかの「つまみ」を頼んで軽く一杯やって待つ、それが普通の頼み方ではあるよね。

そばの「挽きたて」ってどういう意味?

N君:なるほど。確かに周りを見ても、そういう頼み方をしている人が多いですね。僕がいつも行く立ち食いそばは、注文して3分ぐらいで出てきますが(笑)。

河岸:それはあらかじめ打ってある麺を仕入れているからね。店では茹でて出すだけだから速い。でも、そばは本来、「挽きたて」「打ちたて」「茹でたて」が命なの。時間を置けば置くほど風味が落ちてしまう。

N君:「挽きたて」ってよく聞きますが、具体的にはどういうことですか?

河岸:そばの実を挽いて、そば粉を作ること。高級そば屋では自分のところで挽いていて、しかも「挽きたてが命」だから、いい店ほど「その日の分」しか挽かない。だから、「そばが売り切れました」って品切れ御免にする店も多いよね。ただ、この店は挽いたそば粉を仕入れているんじゃないかな?

N君:まだ頼んでもいない状態で、なぜそこまでわかるんですか?

河岸:う~ん、ここは盛りそばが600円でしょう。自分のところでそばを挽いていたら、この値段じゃ出せないと思う。まあ、これは私の推測だから、断言はできないけどね。

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