知らないと恥をかく、そばの「3つの食べ方」 そばをおいしく食べるプロの全スキル、教えます
「リアル美味しんぼ」と評判のウンチク炸裂
N君:とりあえず、お酒とつまみが来たので、一杯いただきましょうか。つまみは卵焼き、焼き鳥、生海苔ですね。うん、この卵焼き、フワッフワでおいしいです! だし巻きなんですね。
河岸:卵6に対して、だしを4ぐらいの割合で入れているね。これは卵が固まるギリギリの量なんだ。これ以上入れちゃうと、もう固まらない。
N君:だしを4割も入れるんですか?
河岸:そう。卵が新鮮だからできるの。新鮮な卵にはだしを抱える力があるから。これが古い卵だと、だしが逃げてしまう。
N君:おー、出ましたね。ネット上で「リアル美味しんぼ」と評判のウンチクが(笑)。
河岸:喜んでいいのかどうなんだか(苦笑)。だしはもちろん店で鰹節からとっているから、ちゃんとおいしいよね。
N君:外食だと、回転寿司の卵を始め、「カチコチの卵焼き」と出会うことが多々ありますよね。それと、今回の「フワフワの卵焼き」の違いは何なんですか?
河岸:それには2つの理由があるんだけど、それは長くなるから、次回「ヤバすぎる『卵焼き』の裏側」で詳しく解説することにしよう。
N君:了解です、ヤバすぎる裏側というのは気になりますね……。それ以外の焼き鳥、生海苔はどうですか?
変なとこをしていないから、普通においしい
河岸:焼き鳥も生海苔も普通においしい。なぜなら、変なことをしていないから。焼き鳥は生の鶏肉を買ってきてここで刺して焼いている。外食・中食に出回っている「水ぶくれ唐揚げ」のように「植物性タンパク」を混ぜてカサ増しをしたり、添加物で味や色をつけてごまかしていない。生海苔も同じ。
N君:「見たらもう食べられない!? 『水ぶくれ唐揚げ』の製造過程」は、新刊でも詳しく書きましたよね。注射器で生の肉に、いろいろ打ち込んでいるという。唐揚げは外食の定番メニューなのに、あれ以来、食べるのが怖くなってしまいました(笑)。
河岸:そういう変な「ごまかし」をしていないから、この店のものは普通においしいよね。要するに、一般的な家庭の味と同じということ。裏を返すと今は家庭料理が作られなくなってきていて、食卓に加工品が入り込んでいるということでもあるよね。
N君:家庭で作れるのに「面倒だから」という理由で、冷凍食品を使うケースも多いですよね。
河岸:だから卵焼きも焼き鳥も、普通のおいしいレベルのものが「家では食べられない、すごくおいしいもの」に格上げされてしまっている。回転寿司や居酒屋で「カチコチの卵焼き」をいつも食べていたら、ここのだし巻き卵を食べたら大感動するでしょう。でも本当はこのぐらいは家庭で作れる。悲しい現実だよね。
N君:確かに、この卵焼きはおいしいですね。「そば屋の実力は『卵焼き』に出る」ともいえそうですね。
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