当面のドルの高値は、1ドル=112円? 1ドル=120円時代は本当にやって来るのか

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円安はどこまで進むのか(マツダの主力車種「CX-5」、撮影:今井康一)

10月1日、ドル円相場が約6年1か月ぶりに、一時110円台に乗せた。今年のドル円相場は2月以降、概ね1ドル=102円前後のレンジで動意の薄い展開が続いていたが、8月10日前後からはかなりのペースでドルが上昇。一気に約8円もドル高が進んだ。

米国は来年6月利上げへ、一段のドル上昇の材料に

ここまでのドル円の上昇は、ドル高と円安の双方を反映したものだ。実際、ドルの名目実効為替レート(NEER)が8月1日以降に2.5%上昇した一方、円のNEERは同期間に4.3%低下している。前者は堅調な米景気動向やFRBの利上げ観測の高まり、後者は4~6月期以降の日本経済の下振れや、公的年金の資産運用を巡る憶測などが背景にあった。

では、ドル高円安は今後も続くのか。またその場合はどこまで上昇するのだろうか。ドル円相場を見通すうえで、カギとなるのは日米の金融政策見通しだ。
筆者は米国経済が順調な回復を続けるなか、FRB(連邦準備制度理事会)が10月28日~29日のFOMC(連邦公開市場委員会)でQE3(量的緩和第3弾)を終了し、来年6月のFOMCでは、最初の利上げに踏み切ると予想している。

一方、日銀については、現時点で年内の追加緩和は見込んでいないものの、金融緩和スタンスの転換には程遠い状況だ。こうした日米の金融政策見通しの乖離は、ドル円相場の一段の上昇を支持する材料となろう。

次ページ短期的には、いったんドルの上昇ペースが鈍る?
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