筆者は、8月4日のコラム「ドル円相場は『緊張の夏』を迎えている」で、「日米両国の金融政策の方向性の格差がドル高円安をもたらす」というストーリーが復活すると述べた。その後8月半ばまでは、ドル円相場は102円前後で推移、方向感は定まらなかった。このため市場関係者の中には、「米国の実質金利低下が続くので、円高圧力が今後高まる」などと予想する声が多かった。
こうした中、8月25日のコラム「いよいよ、『一段のドル高円安』がやって来る」でも、「米国の金利低下が止まり、ドル円相場が膠着状態を抜け出す」との見方を変えず、筆者の見解を執筆した。そして、実際に、8月下旬からドル円相場の膠着相場が終わり、9月19日にかけては、1ドル109円台まで大きくドル高円安が進んだ。
意外でも何でもない、現在のドル高円安
ここ3週間余りのドル円の動きについて、メディアでは「急激な円安である」などと解説されることが多い。ただ、「ドル高円安」は、日米の金融政策の違いを踏まえれば予想されたことであり、最近の相場の動きに、筆者は意外感を感じない。
「急激な円安」にみえるのは、ファンダメンタルズがドル円の価格形成には必ずしも影響せず、かつ、この3カ月余り、歴史的なボラティリティ低下の膠着状況が続いたからだろう。すでに2014年初の時点で、110円前後へのドル高円安がコンセンサスのように予想されていたわけで、やや時間は要したとはいうものの、当初のメインシナリオがようやく実現しつつある、というだけである。
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