当面のドルの高値は、1ドル=112円?

1ドル=120円時代は本当にやって来るのか

ただし、日本経済が徐々に再び順調な回復に向かうと見られることや、円安がすでにかなり進行していることに加え、米国では市場によるFRBの利上げの織り込みも進んでいることから、ここから先のドル円の上昇ペースは最近数ヵ月間と比べると緩やかなものになると見ている。具体的には、バークレイズの為替モデルでは、当面112円までの円安進行を示唆している。

リスク残るが、基本的にはドルの底堅い動きを予想

当社のドル円見通しに対する「上振れリスク」としては、まずFRBの利上げ見通しの前倒しが挙げられよう。米労働市場が予想を上回る回復を達成し、賃金の上昇圧力が強まる環境となれば、FRBが来年3月まで利上げを前倒しする可能性は否定できない。

このほかにも、日本経済・物価見通しの悪化で日銀の緩和観測が高まった場合や、日本人投資家による対外投資が活発化した場合、想定よりも円安に振れる可能性もあろう。こうした要因が重なった場合、ドル円が110円台半ばを超えて上昇していく可能性があろう。

一方、下振れリスクとしては、世界経済の減速や地政学的懸念の高まりなどで、リスク選好が後退した場合が挙げられる。実際、10月1日にドル円は一時110円台に乗せたが、その後は低調な米9月ISM製造業指数や世界的な株安といったリスク選好の悪化を背景に、再び109円を割り込んでいる。

また、最近のドル高や商品価格の下落によって米国のコア・インフレに下押し圧力が掛かった場合、利上げが後ずれするリスクもあろう。ダドリー・ニューヨーク連銀総裁は9月22日のブルームバーグのインタビューに対し、ドル高は「物価を押し下げるため、二重の使命の達成をより困難にする」ため、「既存の金融政策の適正度合いに影響する」と警鐘を鳴らした。

ただし、仮にドル円に下押し圧力が掛かった場合も、下落余地は限定的だと考えられよう。ドル円の水準がここ数カ月間で急速に切り上がったことから、国内外でも買いそびれた投資家などが多いと見られるためだ。

そのため、懸念材料は残るものの基本的には当面底堅い推移を続ける公算が大きいと考えている。
 

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