すみれ:ドラムを想定していなかったので、なかなかしっくりこなかったんです。
坂本:聴いているほうは「いいじゃん」と思うんだけど、すみれちゃんのなかではすみれいこのデュオのイメージがある。だから、もともとデュオでやっていた曲が一番難航しました。
ジャズって、いろいろな人にカバーされてスタンダード曲になっていく。2人の曲は両方メロディックだから「どんな楽器でもいいんじゃないか」って、聴いているほうは思うんだよね。お客様もそう思っているんじゃないかな。
坂本:ジャズは時代を反映する音楽ですから、これからのジャズは、曲とかメロディをより重視する方向になると思うんです。私がレーベルを始めた理由も、そこにあります。これまでのように「修行型」「道場破り型」というのもカッコいいですし、私もすごく尊敬していますが、21世紀のジャズっていうのは、「聴かせ」て、いろいろな人に聴いてもらうことなんじゃないか、と。そういう意味で2人は1歩先を行っているという印象を受けています。
れいこ:「すみれいこ」としての演奏しか聴いたことがなかった人が、すみれちゃんのアルバム「TOYS」でトリオを聴いて、「新鮮だった」と言っていましたよ。
すみれ:嬉しいです!
れいこ:今は、その曲を作った人だけが演奏する風潮がある。もっと、私たちもほかの人の曲を演奏していきたいし、逆に、自分たちの曲も、どんどんほかの方に演奏して欲しいと思います。
坂本:ジャズってカバーの文化。今、みんながゴリゴリとアドリブを突き詰めて研究しているスタンダード曲だって、当時の新曲なんです。当時の新曲でありヒット曲を、みんながカバーしてスタンダードになった。今だって同じことをして、未来に続けていかないとおかしいわけです。
作り手のほうも、どんどん新しいものを紹介していく義務があると思うのですが、ジャズって「新しいジャズ」というと敬遠されたり、敷居が高いと思われがちです。「やっぱり昔のスタンダードが聴きたいな」とか、「聴き方が分からない」とか……。その気持ちもすごくわかるんです。私自身一番好きな音楽は1950~60年代の「ハードバップ」だったりするので(笑)。
でも2人の素晴らしいところは、実力をそなえつつ新しい世界を作っているところ。2人の尊敬するミュージシャンを聞かせてください。
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