すみれいこ、「メロディ重視ジャズ」で世界へ ジャズ界に期待のスタートアップ

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――「すみれいこ」のお2人の演奏がまさにそうです。ジャズの歴史をリスペクトしながら、「美しいメロディを聴いてくれ」みたいなものを持っているのがすごい。ユニット結成のきっかけはなんだったのですか?

栗林すみれ●埼玉県立芸術総合高等学校音楽科卒業後、尚美学園大学芸術情報学部音楽表現学科ジャズ&ポップスコースに入学、卒業。2013年8月ヴィブラフォンの山本玲子とのユニット"すみれいこ"の1stアルバム"Blue Bird"を全国発売。2014年5月にはブルーノートトーキョーに出演。同年7月、大西順子、松永貴志ら世界的ピアニストを輩出してきた行方均氏のプロデュースでディスクユニオンSOMETHIN'COOLレーベルよりデビューアルバム『TOYS』を発表。ホームページはこちら

すみれきっかけは、このお店(大泉学園in F)のマスターなんです。「きっと合うと思うよ」と言われて、お見合いライブのようなことをすることになったんです。

坂本お互いに存在は知っていた?

すみれ知らなかった。本当にお見合い。特にその時点では共通点もなく始まったんですね。

れいこお互いに「どうなるんだろう」と思っていたけど、音を合わせてみたらビビッときました。すごく楽しかった。

坂本デュオというフォーマットって、意外と難しくないですか?

すみれ確かにときどき心細さはあります。でも、1人の音だけに集中していくというのは面白い。人が増えればその分、複雑になっていくと思うので、2人だととても純粋に作っていけるというか。

れいこ何も言わなくても、お互い共通のものを持っていたという感じです。

坂本それは私も感じましたね。特にお二人それぞれが作曲したものを聴くと分かる。美しいよね。

「デュオが一番楽」というのが2人の結論

山本玲子●埼玉県出身。東京音楽大学卒業後、バークリー音楽大学を卒業。2013年に1stアルバム『Tempus Fugit』をリリースし、銀座山野楽器では2013年ジャズフロア年間チャートの10位を記録。また寺井尚子(vln)など数々のアーティストのCDアルバムにも参加。2014年1月ブルーノート東京で開催された、老舗ジャズレーベル『ブルーノート』の創立75周年記念アニバーサリーライブに出演し、ロン・カーター氏 (bs)と共演。ホームページはこちら

すみれ新たに1、2人が加わると、私たちが思っていることが伝わらなくなって、逆にイメージが変わっちゃう。それで結局、「デュオが一番楽だね」という結論に(笑)。

れいこ2人のルーツもちょっと似ているかもしれない。初めてリハーサルをしたときに、お互い曲を持ってきたんですね。私がこの「That Blue Bird」を、すみれちゃんが何かアレンジした曲を持ってきて、それがすごくそっくりだった。

先にすみれちゃんが、「じゃあこれをリハしましょう」って言ったのが、まさに私の曲でやりたかったアレンジだった。それが私の思い描いていた「That Blue Bird」の雰囲気とぴったりで、「これなんだよ!」と感激しました。ほかの人だとなかなか伝わらない。ここまでぴったりくることはなかなかないと思う。

坂本ほかにはいないでしょう。2人の音楽性は特別だと思います。新レーベルの第1号はすみれちゃんのCD「TOYS」だったけど、この録音が大変だったね。すみれいこの「That Blue Bird」をピアノ・ドラム・ベースのトリオで入れたら、難しい。一番なれているはずの曲なのに、8テイクぐらい録った。あと「Grand Line」というすみれちゃんのオリジナル曲も、たくさんのテイクを録りました。

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