――「すみれいこ」のお2人の演奏がまさにそうです。ジャズの歴史をリスペクトしながら、「美しいメロディを聴いてくれ」みたいなものを持っているのがすごい。ユニット結成のきっかけはなんだったのですか?
すみれ:きっかけは、このお店(大泉学園in F)のマスターなんです。「きっと合うと思うよ」と言われて、お見合いライブのようなことをすることになったんです。
坂本:お互いに存在は知っていた?
すみれ:知らなかった。本当にお見合い。特にその時点では共通点もなく始まったんですね。
れいこ:お互いに「どうなるんだろう」と思っていたけど、音を合わせてみたらビビッときました。すごく楽しかった。
坂本:デュオというフォーマットって、意外と難しくないですか?
すみれ:確かにときどき心細さはあります。でも、1人の音だけに集中していくというのは面白い。人が増えればその分、複雑になっていくと思うので、2人だととても純粋に作っていけるというか。
れいこ:何も言わなくても、お互い共通のものを持っていたという感じです。
坂本:それは私も感じましたね。特にお二人それぞれが作曲したものを聴くと分かる。美しいよね。
「デュオが一番楽」というのが2人の結論
すみれ:新たに1、2人が加わると、私たちが思っていることが伝わらなくなって、逆にイメージが変わっちゃう。それで結局、「デュオが一番楽だね」という結論に(笑)。
れいこ:2人のルーツもちょっと似ているかもしれない。初めてリハーサルをしたときに、お互い曲を持ってきたんですね。私がこの「That Blue Bird」を、すみれちゃんが何かアレンジした曲を持ってきて、それがすごくそっくりだった。
先にすみれちゃんが、「じゃあこれをリハしましょう」って言ったのが、まさに私の曲でやりたかったアレンジだった。それが私の思い描いていた「That Blue Bird」の雰囲気とぴったりで、「これなんだよ!」と感激しました。ほかの人だとなかなか伝わらない。ここまでぴったりくることはなかなかないと思う。
坂本:ほかにはいないでしょう。2人の音楽性は特別だと思います。新レーベルの第1号はすみれちゃんのCD「TOYS」だったけど、この録音が大変だったね。すみれいこの「That Blue Bird」をピアノ・ドラム・ベースのトリオで入れたら、難しい。一番なれているはずの曲なのに、8テイクぐらい録った。あと「Grand Line」というすみれちゃんのオリジナル曲も、たくさんのテイクを録りました。
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