目立たないのに「結果」を出す人の3ステップ 落とし穴を見つける「バルコニー思考」

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大事なことは、「適切なタイミングで、適切な階段を選ぶ」ということだ。もちろんフィールドに降りて全力で戦うべきときもあれば、いったんバルコニーから眺めることが必要なときもある。そのバルコニーは、「マーケティング」のような視野ではなく、時として「メンバーの配置」という観点から眺めたほうがいい場合もあるだろう。

「いつ」「どこに」登るべきかということは、ビジネスによって異なるために、ここで一概に語ることはできない。変化のスピードが速いビジネスでは、頻繁にバルコニーに登らなくてはならないだろう。重厚長大の足の長いビジネスであれば、1年に1度、しっかりと眺めておけば十分かもしれない。

つまり、つねに試行錯誤を重ねて、「そのビジネスならでは」のバルコニーの立ち方の勘所を持っておく、ということだ。私自身、すばらしいビジネスリーダーたちと話していると、やはり皆、自分のビジネスの見方に対して持論を持っていることを強く感じる。

したがって、もしバランスよくバルコニーをそろえられたと感じたのであれば、最後に自分の経験を通して、自分なりの「バルコニーの登り方」を定義しておいてほしいと思う。

かく言う私自身も、新しいビジネスに携わる過程で、その登り方を必死に定義しているところだ。実際に登るタイミングを間違えて、軽い落とし穴にはまったこともあるが、そういう経験から学びながら、今のビジネスに対する自分なりの型を身に付けていきたいと思っている。

以上、3つのステップを通して、われわれが「バルコニー思考」を得ていくための過程を説明してきた。

ここで最も重要なことは、「何か、事を為してやろう」という気概である。その心意気なくして、物事を俯瞰して見たところで、単なる小賢しい評論家で終わってしまう。上から眺めて批判することが目的化している人は、最後は誰からも相手にされなくなる。高いところからモノを見ることは、あくまでも「目的」ではなく「手段」のはずである。「目的」があるからこそ、「手段」が評価されるのだ。

では、皆さんの「目的」は何だろうか? ビジネスを通じて何を実現しようとしているのだろうか? 最終的にはそこにも自問自答を重ねながら、このような思考スタイルを身に付けてほしいと思う。

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荒木 博行 学びデザイン社長

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あらき ひろゆき / Hiroyuki Araki

住友商事、グロービス(経営大学院副研究科長)を経て、株式会社学びデザインを設立。フライヤーやNewsPicks、NOKIOOなどスタートアップ企業のアドバイザーとして関わるほか、絵本ナビの社外監査役、武蔵野大学で教員なども務める。『見るだけでわかる! ビジネス書図鑑』シリーズ(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『世界「倒産」図鑑』(日経BP)など著書多数。

 

 

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