目立たないのに「結果」を出す人の3ステップ 落とし穴を見つける「バルコニー思考」

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では、どうすればそういった「バルコニー思考」を身に付けることができるのだろうか? ここではそのステップを、3段階に分けて整理してみたい。

ステップ1:バルコニーに立ったときの視野を体感する

まずは理屈よりも実践である。いくら「東京スカイツリーからの視界がすごい」と言っても、しょせん、自分自身で体感しないかぎりその視野は理解できない。

それと同様に、まずは自分自身でバルコニーから眺めてみることだ。つまり、何らかのフレームワークを使って、自分たちのビジネスを分析してみるとよい。

たとえば、マーケティングプロセスというフレームワークがある。

「世の中に広がるお客さんをどのような切り口で分けるか?」

「分けたお客さんのうち、どこに狙いを定めるのか?」

「そのお客さんに対して、われわれの商品やサービスを、競合との対比の中でどのように位置づけるか? そのための対比の軸をどう設計するか?」

「それを実現するためには、どんな商品、価格、チャネル、広告宣伝を組み合わせるか?」

という問いで構成されているシンプルなフレームワークだ。このような問いに自分自身のビジネスを当てはめてみると、さまざまなことが見えてくるだろう。

「そもそも、うちはお客さんのターゲットを定めているのか?」

「競合はどこだと考えているのか? その競合と差別化するための軸は何にしているのか?」

「果たして商品と価格のレベル感はそろっているのか?」

などなど、疑問に思うことはたくさん出てくるはずだ。私自身、数多くの法人研修でこの手のことを聞いているが、まともに答えられて、かつ全員の認識に差異がない会社はほとんどない。少なくとも、同じビジネスに携わっているメンバー同士であれば、認識にそれほどズレがないことが理想的であるが、たいていは異論が噴出し、とりとめのない議論になる。なぜならば、日々のルーティンに追われるばかりで、その高さで自分たちのビジネスを考える機会が等しく欠けているからだ。

しかし、それと同時に、初めてこういう機会を与えられた人は、

「意外に視界が開けますね」

「社長がなぜああいうことを言っていたのか、意味がわかりました」

ということを口にする。それだけ、この視界=バルコニーに立つのは効果的なことなのだ。

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