あえて"非一流"の京大を選び、勝ち続ける男 練習環境も、食事も、ないない尽くしの中で

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「僕は妥協しないので、寝坊はありません。何よりも自分の目的を達成することが大切ですから。そのために自分で5時30分に起きることを決めました。しんどいとかしんどくないとかは考えないですね。何を食べるのかも自分でチョイスして、練習もぜんぶ独りです。レースなどの交通、宿泊の手配なども自分でやるので、関東勢と比べて、自分のことを自分でやる機会は多いです。

環境が悪いという考え方もできますが、僕はまったく逆の考えですね。自分のことを自分でやることで強くなれると信じています。そうすることで、やってもらえたときに感謝の気持ちを持つことができますから。座っていてもご飯が出てくるのが当たり前になると、そのありがたみはわからないでしょう。感謝の気持ちが自分のエネルギーになっています」

ついつい言い訳をしたくなる環境だが、平井はあくまでポジティブだ。限られた環境をいかにプラス材料にするのか。それは心掛け次第で変わってくるのかもしれない。そして、本番に向けてのピーキングも非常に重要視している。

「関東の選手と、何か“差”をつけないと勝負できないと思うので、自分が狙う大会にはしっかり照準を合わせることを意識してきました。マラソンのオリンピック選考レースも基本的には1発勝負です。自分では本番に合わせるのは得意かなと思います。大切なところで結果を出すためには、心の部分が重要です。練習日誌を書くなど同じことを継続して、生活リズムを正す。身の回りの整理整頓もきちんとできていれば、心が落ち着き、それが安定感にもつながります」

今季、平井は2つの大きな目標を掲げてきた。ひとつは「日本インカレ1万mで3位」になることで、もうひとつは「全日本大学駅伝1区で区間賞」を獲得することだ。京大は平井の活躍もあり、42年ぶりの伊勢路となる。

日本インカレで屈辱を味わった関東勢も、11月2日の全日本はかなり仕上げてくる。エース級が集結する1区で、再び“有言実行”の快走を見せることができるのか。今後も、学生長距離界に一石を投じた京大生ランナーの動向に注目したい。

=敬称略=

酒井 政人 スポーツライター

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さかい まさと / Masato Sakai

東農大1年時に箱根駅伝10区出場。現在はスポーツライターとして陸上競技・ランニングを中心に執筆中。有限責任事業組合ゴールデンシューズの代表、ランニングクラブ〈Love Run Girls〉のGMも務めている。著書に『箱根駅伝 襷をつなぐドラマ』 (oneテーマ21) がある。

 

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