あえて"非一流"の京大を選び、勝ち続ける男

練習環境も、食事も、ないない尽くしの中で

「箱根がない」ことをフルに生かす

一躍、注目を集めた平井だが、9月上旬の日本インカレに向かって、誰よりも綿密な計画を立ててきた。

「昨年の日本インカレ(15位)で、関東勢と力の差をまざまざと見せつけられたのです。自分に何が足りないのか考えたときに、練習量が圧倒的に少なかったですし、スピード練習のタイムも大きく負けていると思ったのです。独りで練習をしているので厳しい部分はあるんですけど、昨年の日本インカレ以降は、関東勢と同レベルの練習をやってきました」

昨年までは月間400~500kmの練習量だったが、鍛錬期には1000km近く走るなど、まずは練習量を大幅にアップさせた。そして、今季は「日本インカレ」を最大の目標に掲げて、取り組んできた。実はこの部分が関東勢と大きく異なる。

関東勢は「箱根駅伝」が最大の目標で、8~9月の夏合宿では「箱根」に向けての走り込みをすることになる。そのため、9月の日本インカレにピークを合わせるようなことはしない。箱根を「100%」とすると感覚的には、「60~70%」ほどの状態だ。しかし、平井は関東勢にとって難しい条件のレースに万全の準備で臨んできた。

「どんな練習をすれば、気温の高い9月上旬のレースで、28分45秒を切ることができるのか。日本インカレで3位になるという具体的なイメージを持って取り組んできたのです。学生ナンバーワンの村山(謙太/駒大)さんが棄権した分、順位がひとつ上がりましたね」

関東勢が夏合宿(30km走がメイン)で走り込みを行う中、平井は直前の合宿でも、16kmペース走や、2000m(5分45秒)×4本や1000m(2分52秒)×8本などのインターバルをこなしてきた。日本インカレ1万mで「28分45秒」を切れるようにバッチリと仕上げて、そして本番ではイメージ以上の走りで目標を達成した。

駅伝の超名門校から京大進学、という選択

京大農学部食料・環境経済学科3年生の平井は、意外なことに全国高校駅伝で6回の優勝を誇る報徳学園(兵庫)を卒業している。「意外」と書いたのは駅伝の超名門校から京大に進学した選手がいることに少し驚いたからだ。

話を聞くと平井は高校時代から特異な存在だった。強豪校の運動部に所属しながら、「選抜特進コース」で7~8限まで授業を受けていたという。そのため、夕方の練習に参加するのが難しい状況にあった。そこで、平井はどうしていたかというと、朝練習でほかの選手たちと一緒に練習を行い、夕方は勉強に集中。その代わりに、登下校の約6kmの道のりを練習(ジョグ)に充てた。

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