あえて"非一流"の京大を選び、勝ち続ける男 練習環境も、食事も、ないない尽くしの中で

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高校3年時には平井がエースに成長したこともあり、長距離ブロックは“平井シフト”を導入。重要な練習メニューであるペース走やインターバルなどのポイント練習は、平井の都合がつく朝に行うようになった。チームは激戦の兵庫県駅伝を制すことはできなかったものの、近畿駅伝まで出場した。

平井は11月末の近畿駅伝まで練習を続けると、その後は勉強に集中した。それまでは、自宅で1時間ほど宿題をやる程度だったいうが、1日14~15時間の勉強で猛スパート。見事、超難関の京大に現役合格した。

「勉強が好きだったんですけど、東大に行く学力はなかったので、2番目の京大というアバウトな決め方です。陸上競技に関しても箱根にこだわりがあったわけではありません。高校時代は故障が多くて、3年間のうち1年半くらいは満足に走れなかったのです。でも、練習さえ継続できれば必ず結果は出ると信じていました」

自炊、週2バイト生活もハンデではない?

高校時代の5000mベストが14分40秒だった平井は自らの“予感”どおりに、大学で急成長を遂げる。大学2年生の昨季は1万mで28分57秒20をマークした。しかし、練習環境は関東の有力校と比べて、恵まれているわけではなかった。専任コーチは不在のため、練習メニューは自分で考え、ポイント練習などは独りで走っている。

「大学では基本、独りで練習をしているので、練習量も自分でコントロールできます。そのおかげもあり、トレーニングが継続できるようになりました。練習内容に関してはオーソドックスですよ。箱根のある関東勢は20kmが大切な距離になるので、30km走などをたくさんやっている印象ですけど、僕は5000mや1万mが走れればいいので、距離走も10マイル(16km)くらいで、ペースを上げて走ります。

インターバルなどのスピード練習も量を減らして、質を上げる方針でやってきました。特に変わったことはしていませんが、競技に対してどれだけ気持ちを込めてできるのか。長距離は我慢比べなので、心の部分が大切です。練習以上に普段の生活を意識しています」

関東の有力校は寮生活で、栄養バランスのとれた食事も提供されるチームが大半で、アルバイトをしている選手はいない。対して、平井は独り暮らし。食事は自炊で、週に2回は塾の講師を務めている。京大に朝練習はないが、平井は朝5時半に起きて、6時くらいから朝練習を行っているという。

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