駅前サウナのホワイトノイズが好き
楠木:少し角度を変えて、俗っぽい質問ですが、たとえば、女優ではどんな人が好みですか?
松本:見た目から入りますね(笑)。そうですね、……黒木瞳さんやチャン・ツィイーさんとか。
楠木:その辺はメジャー志向ですね。普通はみんな好きなことなのに松本さんは嫌いだということ、みんなが嫌いそうなのに松本さんは好きだということはありますか? ちょっと仕事を離れて、僕の例で言えば、スポーツが嫌いです。屋外に出たくはないですね。走るどころか、歩くのもできたら避けたい。汗をかくのも嫌い。サウナの人工的な汗はわりと好きですけどね。海よりもプール、プールよりもプールサイドのほうが好きですね。
松本:楠木さんがスポーツが嫌いなようには見えないですけどね。ほかの人の好き嫌いと反するかどうかわかりませんが、「駅前サウナ」が大好きです。
楠木:お、がぜん面白くなってきた(笑)。サウナという設備が好きということ? それとも、高級なホテルの中にあるスポーツクラブのサウナとかじゃなくて、駅前にあるサウナが好き?
松本:断然、駅前サウナ。お客さんが基本的にデスクワーカーではなく、体を動かす仕事をしている人たちというのがいい。自分とまったくタイプが違う人たちですよね。休憩室には大きなテレビが2台あって、違う番組が大音量でついていて。ひとつが巨人戦だったりして(笑)。それで、サウナから上がって、休憩室にある背もたれが倒れるいすに寝そべるのが最高です。テレビはうるさいし、後ろにテーブルがあって食べ物のにおいがするし、たばこの煙はたちこめているし、酔っぱらって大声で話している人もいるし、そういう雑多な空間です。
あらゆる周波数の音が混ざった状態をホワイトノイズと言いますよね。駅前サウナはある種、ホワイトノイズの空間です。リラックスして、よだれを垂らして寝ちゃいます。昔は出張でもカプセルホテルに泊まって、休憩室でくつろいでいましたよ(笑)。
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