ゴミからセメントを造る、ゴミ処理場問題に光明

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 家庭から出る可燃ゴミなど一般廃棄物は、法律で基礎自治体(=市町村)が処理することになっている。基礎自治体は単独で、あるいは他の自治体と組合を作り清掃工場を持つ。ところが日高市は市内にセメント工場があったことから、清掃工場を持たずに済んでいる。

市と企業がウィン・ウィン 最終処分場を百年延命

実は、日高市も以前は自前の清掃工場を市内に持っていた。ところが、老朽化が進んだこととダイオキシン規制強化により、最新の清掃工場に更新することを迫られた。「建設資金が膨大なうえ、迷惑施設ということで住民からの反対も予想され、建設用地確保に苦労していた」(日高市)という。

そこに飛び込んできたのが、太平洋セメントの「都市ゴミセメント資源化システム」の提案だった。

太平洋セメントもセメント会社ならではの悩みがあった。セメントの国内需要が減る一方で、キルン(窯)の操業維持が大問題になっていた。そこで、従来のセメント原燃料リサイクルを一歩進めて、都市ゴミを丸ごとリサイクルするシステムを、日高市に提案したのだ。

その仕組みは、収集車で運ばれた可燃ゴミなどを工場の受入室とゴミ資源化キルンで、3日かけて生分解反応(発酵)させるというもの。この過程でゴミ袋は破けて細分化し、発酵が進んで、原燃料としてリサイクルしやすい粉状の形になる。

「日高市と太平洋セメント埼玉工場とはウィン・ウィンの関係」と日高市役所の担当者は話す。日高市のゴミ処理費はトン当たり4万950円(消費税込み)。もし市が自前で清掃工場を建設し、運営していたならば、処理費は現在より20%以上は高くなっていたと推測している。

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