ゴミからセメントを造る、ゴミ処理場問題に光明


 メリットはこれだけではない。清掃工場から出る焼却灰は最終処分場で埋め立て処分されるが、この焼却灰がゼロになったのだ。「日高市の最終処分場は12年に満杯になると予想されていたが、セメントリサイクルの結果、あと100年はもつ。最終処分場新設の必要がない」(同市)というのだ。

公共投資の削減などにより、ここ20年でセメントの国内需要は半分に落ち込んだ。今やセメント会社にとってはリサイクル事業が主要な利益源になっている。多くのセメントメーカーは、「廃棄物処理収入を除くとセメント事業は赤字」と語る。厳しい事業環境の中で、セメント会社からは、「処理料金を上げたい」という本音も聞こえてくる。

大ピンチ多摩地区の選択 埋め立てが40分の1に

迷惑施設とされる清掃工場より強い反対運動に直面するのが、ゴミの埋め立て処分場、最終処分場だ。

東京都の場合、東京特別区(23区)には東京湾に大きな埋め立て処分場が造れる。今や観光名所になったお台場などウォーターフロントも、元はゴミの埋め立て処分場だった。現在使われている東京湾Cブロックの埋め立て処分場は、東京都によれば50年以上もつと予想される。

一方、人口400万人を抱える東京多摩地区(25市1町)。多摩地区のゴミは、都の中に厳然と存在する特別区と多摩地区という制度・慣習の壁に阻まれて、東京湾に搬入することができない。東京都日の出町にある山中の埋め立て処分場(二ツ塚処分場とそれ以前に使用されていた谷戸沢処分場)に頼るしかない。

ところが1992年、谷戸沢処分場で遮蔽シートの汚水漏れが発覚、強力な反対運動が起こった。98年1月に二ツ塚処分場が開場すると、同4月に谷戸沢処分場が18年間の寿命を終えて埋め立てを完了した。だが反対運動により、「二ツ塚処分場の次はない」(鈴木秀章・前東京たま広域資源循環組合事務局長)という難局にぶち当たっていた。

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