ゴミからセメントを造る、ゴミ処理場問題に光明

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 そして“最後の処分場”である二ツ塚処分場自体も、埋め立て開始16年後の2014年度ころには満杯になると予想されていた。

この隘路を突破するために東京多摩地区の自治体が採用したのが、清掃工場から出る焼却灰をセメントにするリサイクルだった。06年7月、焼却灰からセメントを造る、東京たまエコセメント施設が稼働したことから、07年から焼却灰の埋め立てをゼロにすることに成功した。現在では、埋め立て処分量は不燃ゴミ年間4000立方メートルで済み、00年比40分の1にまで減っている。この結果、二ツ塚処分場は今後数十年以上はもつという。

運営を担当しているのは、25市1町で構成される東京たま広域資源循環組合(特別地方公共団体)だが、エコセメントの事業主体は、特定目的会社(SPC)である東京たまエコセメント。この会社は太平洋セメントと荏原製作所による企業共同体で、操業は太平洋セメントが行っている。

エコセメントの成分は石灰石50%、焼却灰44%、その他6%。普通セメントに比べて、石灰石の割合は低いが、JISの基準を満たしており、普通セメントと同様に使用できる。普通セメントより生産コストは50%高いというが、多摩地区の最終処分場を延命させられる効果に比べれば、許容範囲といえる。

あまり知られていないが、大規模な生産施設と技術を持つセメント産業の環境問題への貢献は大きい。都市ゴミをセメントでリサイクルするシステムは、都市ゴミ問題に直面する海外からも注目を集め、シンガポールやベトナムなどから見学に訪れるという。日本が世界に貢献する“未来技術”が一つ、ここにある。

(内田通夫 撮影:風間仁一郎 =週刊東洋経済2010年8月28日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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